あなたは自動車で移動している時、どのように過ごしていますか?
運転している・いないに関わらず、車内で音楽を聴くという人は多いのではないでしょうか。なにしろ動く密室とも言うべき車なら、周囲をはばからず思い切り好きな音楽を聴くことができますし、“プライベート性”という意味では自動車にかなう空間はありません。
今までは車内でラジオやお気に入りの音楽CDを聴くのが一般的でしたが、最近ではYoutubeや定額配信システムで好みの音楽をタブレットやスマホで楽しむスタイルが主流に。ただし、ソフトによっては大量のパケット代が発生してしまう可能性もあるようです。そうしたニーズに応える形で、NTT docomoが2019年9月から車載専用のWi-Fi定額サービスをスタート。果たしてそのお得度は…? また、スマートフォンのテザリングやモバイルタイプの携帯ルーターなど、車内でWi-Fiを使いこなす方法をお伝えします。
1日500円から~
NTT docomoの車内専用Wi-Fi
公共施設やカフェ、レストランなどのさまざまなエンタメスポットを中心に、無料でつなぎ放題のWi-Fiスポットの整備が全国的に進んでいます。一方で、なかなか展開が進まなかった車内Wi-Fiの環境改善に向けて、NTT docomoが事業活動をスタートしました。サービスの名前はまさにそのもの!な「docomo in Car Connect」。システムに対応した機器やナビゲーションシステムを搭載している車両の中で、LTE回線網を使ったデータ通信をワイヤレスで利用することができます。
申し込みは専用サイトで必要な事項を入力するだけ。dアカウントを持っていれば利用期間の選択も自在で、料金支払いにはクレジットカードやdポイントを使うことができます。
最短1日から利用が可能ですので、家族との日帰りドライブの時に申し込み、移動しながら子どもたちが好きな音楽、動画、ゲームを満喫することもできます。365日=1年で1万2,000円のプランは月々に直せば1000円、1日計算ではなんと33円。平日もマイカーで移動することが多い人にとっては、音楽を始めとするインターネットコンテンツを、上限を気にせず楽しむことができるでしょう。また、このプランは容量の大きなメールのやりとりも安心。スマホのナビアプリや検索も、さくさく快適に行えるのは助かりますね。
営業車での移動が多い、配送時に日々、車両を活用している場合など、ビジネスユースでも使いこなせば、コスパはますます高くなるはずです。
パーソナルユースのWi-Fiプランとしてはとてもお手軽に感じますが、現状、もっとも気になるのは、対応車種が2019年秋にデビューした日産の新型スカイラインのみだということでしょう。そのほかには、パイオニアが秋からリリースするカーナビゲーションの新製品にも対応しています。もっとも、現在のラインナップは、いわゆる皮切りにすぎません。今後は、数多くのパートナー企業とのつながりを通して、多彩な車種やカーナビゲーション機器に対応が広がっていくことが予定されています。
今すぐ使えるWi-Fiテクニック
あなたのスマホがWi-Fiスポットに……「テザリング」
もっとも簡単に今すぐ使えるWi-Fiスポットが、実は普段から使っているスマートフォンの中に眠っています。それがテザリング機能です。これはスマートフォンを親機として使うもので、Wi-Fi回線のみで動画を見たいという時にはとっても役立ちます。
しかし、お手軽ではありますが、気をつけなければいけないのは、親機側には使った分だけパケット代がかかるということ。データ容量の上限が少ないままで動画を見てしまうと、あっという間に上限に達してしまいます。そうなると通信速度が低下し、ウェブサイトを見るのもひと苦労しそうです。さらに、Wi-Fi接続をしている時はスマホのバッテリー消費が激しくなりますので、車載で使う場合はできるだけ、USBなどで充電しながら利用した方がいいでしょう。
いつでもどこでも使える持ち運びタイプ……「Wi-Fiルーター」
ポケットにも入るサイズのモバイルWi-Fiルーターは、LTE回線の条件さえ整っていれば、大容量の動画データも安心してダウンロードすることができます。自分の使いやすい容量に合わせたプランを選ぶこともでき、無駄なくいつでもどこでもインターネット環境を整えることができるのが特徴です。
デメリットを一つあげると、ルーター本体が熱に弱いこと。稼働温度の上限は35度ほどに設定されている製品が多く、夏場などは40度を超えることもある車内で使うには注意が必要です。バッテリー消費対策として充電しながら使っている場合も熱を持つので、動作が安定しない可能性もあります。
欧州車の一部にはすでに「走るモバイルルーター」がある
アウディは2013年から、日本発売の自動車としては初めてWi-Fi機能を車載した「走るモバイルルーター」となるニューモデル、アウディA3スポーツバック をリリースしました。「Audi Connect」と名付けられたこのサービスは、上限400MBというデータ容量や3G・4Gしか対応していないなど不満の声がありましたが、それでも非常に画期的なものとして注目されました。
その後、Audi ConnectはLTEにも対応するようになり、すべての車種で採用されるようになっています。同様のサービスはジャガー、ランドローバー、ポルシェなどの他の欧州メーカーでも、随時導入が進められています。
トヨタも同様のサービスを北米でスタート!
新型スカイラインに搭載されるdocomo in Car Connectもこれと同じサービスですが、他メーカーでも同様の取り組みを見せています。たとえばホンダは2018年から、新型インサイトに4G LTEのWi-Fiスポット機能を搭載しました。
またトヨタは2019年初めに、北米市場向けの2020年モデルから、4G LTEに対応したコネクティビティをトヨタ車およびレクサス車のすべてのラインナップに展開することを明らかにししました。データのプロバイダは北米の通信最大手AT&Tで、車内をWi-Fiスポット化し、無制限のデータプランまで用意されるそうです。
トヨタのWi-Fiサービスの今後の日本展開に関してはまだ発表されていませんが、自動運転が普及するにつれて、車がパーソナルなエンタメ空間としての存在価値をますます高めていくことが確実なだけに、日本展開の可能性は目の前だと言われています。
docomo in Car Connectの展開拡大も含めて、配信コンテンツを楽しむシーンはますます増えていくことでしょう。