首都高速道路をはじめ、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)、外環道(東京外かく環状道路)、中央環状線(都市高速道路中央環状線)など、首都圏の高規格道路の整備が、急ピッチで進められています。2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催にともなう交通渋滞緩和のほか、近い将来に発生が予想される関東エリアでの巨大地震対策など、整備への取り組みが進む理由は多岐に渡ります。
果たして、こうした道路網の広がりは、どんな形で私たちの暮らしを便利にしてくれるのでしょうか。今回は2019年秋の行楽シーズンから役立つ最新の道路網整備の事情をお伝えします。
首都高速道路・C1中央環状線を急ピッチで改修
国土交通省は、かねてから関東地区の道作りの要となる取り組みとして「首都圏3環状道路」の構想を進めてきました。そのひとつ、都心から半径約8kmに位置する総延長約47kmの道路が、中央環状線です。
中央環状はほかの3環状に先駆けて、2015年3月に全面開通。いわゆる「リング」のひとつとして完成されました。湾岸線大井JCTから3号、4号、5号、6号を経て、ふたたび湾岸線の葛西JCTへと繋がり、都心部への交通集中を緩和する切り札のひとつとして計画が進んできたものです。全線開通してからも、環状道路としての機能性を高める(それはもっぱら、渋滞緩和と同じ意味ですが……)ために、さまざまな改修が進められています。たとえば6号線との合流ポイント堀切〜小菅JCTや5号線との合流ポイント板橋〜熊野町JCTは、2018年3月までに矢継ぎ早に4車線化を完了、合流による渋滞緩和の効果が確認されています。
さらに2019年度中を目処に、小松川JCTの設置工事が完成する予定です。これは今のところ高架で交差しているだけでつながりのない中央環状線と首都高速道路7号小松川線を結ぶ計画で、埼玉副都心エリアなどから京葉道路経由で千葉方面に向かうルートの選択肢が増えることが期待されます。それによって都心環状線や湾岸線の交通渋滞が、緩和されるかもしれません。
首都高速道路・ 湾岸線大井JCTの通行止めは2019年9月末まで?
湾岸線大井JCTではなんと40カ月もの長い期間、首都高速道路1号羽田線(上り)への通行が、改修工事のために通行止めとなっていました。
もともと横浜方面からのアクセスに慣れているドライバーは、湾岸線の上り臨界副都心ICからの慢性的な渋滞を避けるために「1号線に逃げる」という裏ワザ(?)をよく使っていました。しかし通行止めになった当初はそれが通用せず、しかも一度JCTをそれてしまうと首都高速道路3号渋谷線に到るまで出口がないという悲劇に見舞われることもあったようです。
利用者にとっては少々トラップじみた規制でしたが、これも危険性が指摘されるほど老朽化が進んでしまった、首都高速1号羽田線を作り変えるために必要なことでした。こちらはいよいよ2019年9月末に、その規制が解除される予定です。ただしひとつ気がかりなのは、湾岸線東行き大井JCTのレイアウトが変更されて以来、中央環状線外回り方面への分岐ルートが非常に混雑しがちなことでしょうか。分岐直後のカーブがややキツめで道路幅が狭い印象があるため、大型トラックなどの通行速度が下がってしまう=渋滞につながっているようです。羽田線(上り)への通行が再開された時、渋滞がどのように変化するのかは気になるところです。
並行して走る国道357号線から入る時も、湾岸線には「大井入口」、環状線はこれまで大井南入口料金所と呼ばれていた「中環大井南入口」のそれぞれの料金所を使いわけなければいけなくなるなど、慣れるまではちょっとわかりづらい分岐となっています。地図情報が更新されていないカーナビゲーションでは、従来の「大井南入口料金所」から湾岸線への経路を案内してしまう可能性もありますので、注意が必要です。
「ほくせいせん」の開通で、東名高速→横浜のルート選択が豊富に
2020年東京オリンピック・パラリンピック開催までの開通を目指して、工事が進められている横浜環状北西線(通称、北西線)は、激しい渋滞が常態化している保土ヶ谷バイパスの流れをスムーズにしてくれる可能性を秘めた新路線です。北西線そのものは、東名高速道路の横浜青葉ICから第三京浜道路の港北ICを結ぶ、総延長約7.1kmの自動車専用道路ですが、完成すれば横浜北線と接続、大黒線を経て横浜のみなとみらいエリア、湾岸線までダイレクトにつながることになります。
現状、東名高速道路から横浜方面に向かうためには、横浜町田ICから保土ヶ谷バイパスを経由して神奈川県内の首都高速道路を使うルートしか選べませんでした。けれど新しいルートの選択肢が増えることで、横浜町田ICの出口渋滞や保土ヶ谷バイパスの流れが、劇的に改善されるかもしれません。
たとえばそこから横浜横須賀道路を経由して三浦半島へ向かう行楽客にとっては、朗報でしょう。さらに湾岸線を経由して都心方面、あるいは東京湾アクアラインを使って千葉方面へと向かうルートも、通行が楽になりそうです。
要注目は外環道。「迂回利用割引」をうまく活用しよう
いわゆる首都高速道路ではありませんが、首都高速道路網のこれからに大きな影響を与えそうなのが、首都圏3環状道路のひとつ、外環道(東京外かく環状道路)です。都心からの半径約15km圏を結ぶ総延長約85kmのリング状の道路は、現状では約60%が開通しています。
これから整備される予定の外環道のなかでも特に注目されているのが、関越自動車道 大泉JCTから東名高速道路の東名JCT(仮称)まで、いつ・どの段階でつながるのか。今までは環状8号線を使うしかこの経路の行き方がありませんでしたが、この区間が自動車専用道路としてつながれば、通常1時間ほどかかっていたコースを、わずか12分で走りきることができると言われています。さらに将来的には、東名高速から湾岸線まで直通する計画が進められています。
ますます便利な外環道をおトクに使いこなすには、「外環道迂回利用割引」がオススメ。対象となる都心環状線のICを利用して乗降するうえで、外環道のJCTをひとつだけ迂回利用して東関東道や京葉道路、常磐道、東北道、関越道なども利用するなら、首都高速や外環道での割引を受けることができます。
まとめ
整備が進む一方で、首都高速にはETC車載器をつけた車を対象に、ほかにもさまざまな割引制度が用意されています。ますます使いやすくなる首都高速を、上手に賢く利用して、充実したファミリードライブを楽しいんで見てはいかがでしょうか。