東北中央自動車道の南陽高畠ICから山形上山ICまでの工事が終わり、4月から開通されています。おかげで福島駅を起点に、ダイナミックな景色とワインディングが連なる蔵王エコーラインを横断し、東北中央自動車道を使う上山市から南陽市、米沢市を巡るドライブがもっと身近に楽しめるようになりました。
蔵王の御釜で絶景を楽しんだあとは、山形県南部地区の歴史スポットを縦断。見所たっぷりのドライブコースをご紹介しましょう。
蔵王から山形南部の歴史スポットを巡る!スイッと一筆書きドライブ
旅の始まりは福島駅です。東京からいらっしゃる場合は東北新幹線に乗って2時間ほど、愛車で移動する場合は4時間ほどで到着です。今回はここでレンタカーを借り、東北自動車道福島飯坂ICへと向かうツアーを想定しました。東北自動車道を北上して白石ICで降りてから、国道4号線と県道12号線を経て、蔵王エコーラインへと向かいます。
今回のルート
「蔵王 御釜(五色沼)」→「山形駅前 米沢牛の案山子」→「上山城」→「かみのやま温泉 武家屋敷通り」→「赤湯温泉」→「上杉神社」→「新杵屋 本社工場直売店」
遠刈田温泉街を抜けてしばらく走ったら左折。蔵王大権現の大鳥居を抜ければ、いよいよ蔵王エコーラインの始まりです。
運転好きにはたまらない、魅惑のワインディングロード!
蔵王エコーラインは、宮城県の遠刈田周辺から蔵王山を越え、山形県上山市方面へとつながっています。約26kmの道路間には数え切れないほど大小様々なコーナーが連なっており、運転が大好きなドライバーにはたまらない、日本屈指のワインディングロードとしても知られています。さらに春の新緑、秋のもみじ、冬の雪景色と、四季折々の自然絵巻が壮大なスケールで描かれるのもこのコースの魅力。家族と一緒の観光ドライブをたっぷり満喫することができますよ。
蔵王エコーラインは、毎年10月下旬の雪が積もり始めるころから夜間通行止めとなり、11月初旬から4月の下旬にかけては閉鎖されます。GWごろには開通しますが、5月上旬までは夜間が閉鎖。雪の積もり方などによって開通・閉鎖の時期や時間帯が変わりますので、訪れる際には念の為ホームページなどでご確認くださいね。
開通直後の1〜2週間ほどは、降り積もった雪壁が道路の両側に高くそびえたつ「雪の回廊」ドライブが楽しめます。わずかな期間限定でしか楽しめないダイナミックな風景も一度は試してみる価値あり!
蔵王エコーラインに関する問い合わせ
蔵王町農林観光課 0224-33-2215
蔵王町観光案内所 0224-34-2725
公式HP http://www.zao-machi.com/553
蔵王ハイラインから五色に輝く「御釜」へ
エコーラインを半分ほど走ったところで、右側に側道が現れます。その先にあるのが有料道路・蔵王ハイラインの料金所(こちらも閉鎖時期があるのでご注意を)。ここからさらに峠道を登っていくと蔵王山頂の駐車場が見え、レストランや売店のあるレストハウスがお出迎えしてくれます。ここからは駐車場に車を停めて徒歩で移動しましょう。数分歩けば宮城側の平野部を一望する、雄大な風景が視野いっぱいに広がります。手前には荒々しい姿を見せる茶褐色の山肌、その奥に蔵王山名物の「御釜」あるいは別名「五色沼」が見えます。なんと、標高1,800m越えのパワフルな絶景です。
ここで、「なんでオカマという名前なんだろう」と疑問に思うかもしれませんが、実物を見れば納得するはず。広々とした火口湖は外輪山に囲まれており、いかにも料理のお釜を彷彿とさせる姿だからです。冬季はその水面が完全に凍結しますが、これが溶けると鮮やかなエメラルドグリーンに変わるのだとか。五色沼の名前は、陽の光の当たり方によってその表情が五色に変わるからだと言われています。雄大であると同時に神秘的であり、季節ごとに味わいたくなる不思議なオーラが漂う場所。それも、この山が信仰の対象であり修験道の舞台として、多くの修行僧を集めた場所でもあるからなのかもしれません。
御釜を臨む展望台から数分、歩いていると刈田嶺神社(奥宮)が見えてきます。ただし、晴天でもとんでもない強風が山頂に吹き荒れることもあるため、気をつけて訪れてくださいね。また、高度が高いので、寒さ対策はしっかり行いましょう。
営業時間:9時00分〜16時00分/期間中無休(冬季は閉鎖)
住所:宮城県刈田郡蔵王町遠刈田温泉倉石岳国有林地内
HP:http://www.eboshi.co.jp/okama/
御釜の絶景を堪能したら、蔵王エコーラインを山形県側へ下ると、上りとは一味違う風景を横目に上山市へ到着。ここからは山形駅に少し寄り道してみましょう。
山形名物大集合!の駅前ビル
目的地は山形駅東口交通センターです。名前から想像できるとおり、外観は少し昭和感漂う駅前商業ビルです。今回ご紹介するランチスポットは、この建物の2階にある「山形の味処 飲食街」です。この飲食店街は、山形牛や米沢牛の焼肉&ステーキの名店、山形県民のソウルフード・いも煮などの充実した定食を食べさせてくれる和食店、デカ盛り具合も有名な山形らーめんのお店が大集合する、まさに山形グルメを総ざらいできる名店街なのです。今日はどこへ行こう、何食べよう、なんて迷ってしまいそうですね。
◎米沢牛の案山子 http://www.kakashi.tv/yonezawa.htm
◎べにばな亭(ホットペッパーグルメ)
https://www.hotpepper.jp/strJ000290707/
◎山形らーめん 山形アッキー(食べログ)
https://tabelog.com/yamagata/A0601/A060101/6004735/
さて、お腹もいっぱいになったところで、次は歴史を体感するお城見学に向かいましょう。
歴史観溢れる名城でお大名な気分に浸ってみる
上山(かみのやま)市はかつて上山藩と呼ばれ、江戸時代に参勤交代にも使われていた羽州街道の要所のひとつでした。かみのやま温泉のある宿場町としても知られ、現代も大型の観光ホテルが点在しています。
この町のシンボル的な存在が、温泉街にほど近い山の上に立つ上山城です。それほど大きなお城ではないものの、瀟洒なたたずまいの三層天守閣は堂々と美しい姿を見せてくれます。もっとも、この上山城は1535年に築城され1873年に廃城されて以降は復元されることもなく、城趾が月岡公園と月岡神社として遺されていました。そのため、現在ある建物は、その二の丸跡に1982年に建築されたもので、お城の出自としてはいわゆる模擬天守と呼ばれるカテゴリーに当たります。かつての姿を復元したものではなく、あくまでもオリジナルデザインで、史実にはまったく関係がないものです。
それでも上山城は5階構造の館内が郷土歴史資料館として活用されるなど、見応えは抜群。天守閣からは上山市内のほか蔵王連峰も一望でき、ちょっとしたお大名気分に浸ることもできますよ。
開館時間:9時00分〜16時45分/休館日 奇数月第2木曜日、年末ほか
入館料:大人一般410円/学生一般(高校・大学生)360円/小人一般(小・中学生)50円
住所:山形県上山市元城内3番7号
問い合わせ:023-673-3660
公式HP:https://www.city.kaminoyama.yamagata.jp/soshiki/25/buke-yashiki.html
お城を出たら歩いて温泉街の方へ。次は本物の江戸時代の武士が住んでいた、武家屋敷が並ぶ通りへと向かいます。
江戸時代、郷土を愛した武士たちの日常を知る
上山城からは歩いて数分、市立小学校裏手の普通に細い通りに面した4軒が、300年以上前に作られたと言われる武家屋敷です。建屋によっては改修されているものもありますが、ほとんどは当時の面影がそのまま残されています。4軒のうち内部が見学できるのは、市が所有している三輪家(有料)と旧曽我部家(無料)の2つ。茅葺き屋根や派手さのない質実剛健な風合いは共通するものの、屋内を見比べるとずいぶん雰囲気が違います。往時の武士たちの生活感が感じ、ちょっと「住んでみたいな」と思ってしまうかも…?
営業時間:9時00分〜16時45分/毎水曜日定休(12月28日〜1月3日休み)
住所:山形県上山市鶴脛町
問い合わせ:023-672-1111(上山市訳書 教育委員会 生涯学習課)
公式HP:https://www.city.kaminoyama.yamagata.jp/soshiki/25/buke-yashiki.html
さて次は、旅の疲れをじんわりと癒す温泉へ。上杉家由来の温泉地として知られる赤湯温泉に寄ってみましょう。
かの上杉謙信公も入った?小さな名湯街
赤湯温泉は、それほど広くはない街中に14件の温泉旅館が点在する、密度の高い温泉街です。米沢藩主がそれまでの伊達家から上杉家に変わった頃から、赤湯温泉は殿様の別荘地的な扱いをされてきたのだそうです。その名残が旅館のひとつ「御殿守」で、創業はなんと380年。館内ラウンジには甲冑が飾られ、お風呂には巨大な石がドドンと鎮座しています。
米沢藩主を務めた上杉代々の当主たちが愛したお風呂は、その歴史の重みを感じさせながらも、肩こり腰痛ほか身体の重荷までをしっかり癒してくれそうな名湯です。
住所:山形県南陽市赤湯989
問い合わせ:0238-40-2611
公式HP:https://www.gotenmori.co.jp
続いては米沢に住む人々が敬愛してやまない、上杉家ゆかりの神社へと向かいます。東北中央自動車道を利用すれば、ほんの30分ほどで到着です。
名将・上杉謙信公と名君・上杉鷹山公を祀るふたつの神社

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米沢北ICを降りて米沢市内を十数分走ると、お堀に囲まれた緑豊かな一角が見えてきます。そこ、かつて米沢城の本丸や一の丸などがあった地。現在はその一部が、松が岬(まつがみさき)公園として市民の憩いの場となっています。
約4.4haと、東京ドームほぼ1個分の広さの敷地には、戦国時代を代表する名将のひとりとして知られる上杉謙信公を祭神として祀る上杉神社があります。そして、その参道から歩いてお堀を超えると敷地内にもうひとつ、松岬神社が見えてきます。こちらは、困窮した藩財政を徹底した倹約と巧みな経済活性化策によって復興させた第9代米沢藩主、上杉鷹山公が祀られています。米沢の歴史上、もっとも大切なふたりの人物にまつわるこの公園には、ほかにも伝国の杜と名付けられた米沢市上杉博物館が併設されています。
米沢市民にとって上杉家がどれほど大切な存在かをひしひしと感じることができる、趣深いスポットです。
営業時間:6時00分〜17時00分(冬季は7時00分〜)
住所:山形県米沢市丸の内1-4-13
問い合わせ:0238-22-3189
公式HP:http://yamagatakanko.com/spotdetail/?data_id=1390
これにて御釜から山形南部にかけての「一筆書き」の旅は、とりあえず終了です。再び東北中央自動車道に戻って福島飯坂ICを目指しますが、その前にもう一ヶ所、立ち寄っておきたいところがありました。
旅の終わりはホクホクなお弁当で!
最後の目的地は「新杵屋」さん。米沢駅の真ん前にあるお弁当屋さんです。そこで手に入るのが、工場直送できたてほやほやのお弁当「牛肉どまん中」。駅弁好きなら知らない人はおそらくいないであろう人気商品を、あえて本家本元で購入する贅沢を味わいます。
福島駅でレンタカーを返したら、東北新幹線の車内でお弁当×ビールという黄金セットでゆったり、まったり。これこそ旅の醍醐味ではないでしょうか。
営業時間:8時00分〜19時00分ごろ/年中無休
住所:山形県米沢市東3-1-1
問い合わせ:0238-22-1311
公式HP:http://www.shinkineya.com/index.html