桜が舞い散る季節を過ぎるといよいよGW。今年は暦のタイミングと新天皇陛下即位が重なり、4月27日から5月6日まで、10日間もの「大型連休」になる人も少なくないはず。
長期連休となると、車に乗ってドライブ旅行に出かけたり、普段は忙しくてなかなか行けない大型ショッピングモールやレジャー施設に行ったり、家族そろってお出かけすることも増えますが、そこで気をつけたいのが駐車場での思わぬトラブルです。
第6回目のトラブル相談室では、駐車場にまつわるトラブルの対処法についてお答えします!
Q.駐車場で他車とぶつかってしまったら?
駐車場内での事故発生率は非常に高く、日本損害保険協会のリサーチによると、すべての交通事故案件のうち約3割が、駐車場内で発生しているそうです。
一般道であれば、車は通行帯を一方向で走行しますが、駐車場内は空きスペースを探す車が不規則に動き回り、さらに駐車車両の間から歩行者が不意に飛び出してくるため、回避行動に伴う事故発生率も高くなっていると予想されます。
事故を起こしたらまずやるべきこと
駐車場で他車と接触事故を起こしたら直ちに停車し、負傷者がいた場合は救急車を要請してください。それから事故車両を安全な場所に移動させ、周囲に事故発生を知らせるなどして二次被害を防止するための措置を行いましょう。
個人所有の駐車場や月極駐車場など、特定の車しか使用できない駐車場は、法律上「私有地扱い」となり、警察が介入できないケースもあります。しかし、コインパーキングや商業施設の駐車場など、不特定多数が利用できる駐車場は一般道路で発生した交通事故と同じ扱いとなるため、負傷者への対応と安全確保を実施したら、速やかに警察へ通報し届出を出さなくてはなりません。
これはドライバーとしての義務です。駐車場内で事故を起こし、人身扱いになれば違反切符を切られることになりますが、その時に警察による事故状況の確認を受けなければ「交通事故証明」が発行されず、自動車保険の適用外になってしまいます。必ず届出を出しましょう。
過失割合について
駐車場内での他車との接触事故による過失割合は、ドライバーがいる・いないに関わらず、完全に停止・駐車している車に衝突した場合、動いた側に100%、双方が走行している時に接触した場合は、通常「5:5」の過失割合となります。
また、駐車スペースから通路に出ようとして走行していた車と衝突した場合は、前者に70%、後者に30%の過失割合があると判断されるのが一般的ですので、自動車保険の適用に備え、事故の発生状況を細かくメモしておきましょう。
注意したいこと
なお、駐車場には「道路標識ではないから」と、通路の進行方向や止まれの表示、時速5km以下で徐行など、通路上の表記や看板による注意喚起を無視するドライバーも中にはいます。駐車場の注意喚起を無視した走行は、事故発生率を上げてしまいますし、万が一事故に遭遇した場合の過失割合が10%や20%程度になってしまうため、必ず順守するよう心がけましょう。
Q.駐車した場所を忘れてしまった!
大型ショッピングモールやレジャー施設では、たくさんの車を格納できるように広い立体駐車場を完備しています。大型立体駐車場は照明がやや暗めのところが多く、画一的な景観をしています。さらには迷路のように入り組んでいるため、自分の車をどこに停めたか見失い、ウロウロとさまよう「駐車場迷子」になる人も。
一度迷うと見つけるまでには時間と労力がかかりますし、小さなお子さまやご年配の方と一緒に多くの車が走行する駐車場をさまようのは、安全面からみても好ましくありません。たとえ、物覚えに自信がある方であっても、慣れない施設へ出かけたときは駐車場迷子になりやすいので注意が必要です。
一番簡単なのは、駐車スペースの柱や店舗への出入り口に記載されている、3B・5F・7Aなどといった階層とエリアを示す記号を、忘れないようにメモする、または写メを取っておくことです。さらに、今の車はキーレスエントリーを装備していることも多いので、「この辺かな」と思ったら作動させ暗めの駐車場内で点灯する、「ハザードランプ」を手掛かりしても良いでしょう。
ちょっとした裏技ですが、キーの先端部分をあごの下に当ててスイッチを押すと、人間の体がアンテナの役目を果たし、数倍キーレスの反応範囲が広くなるので、自分の車がなかなか見つからず困ったときはぜひ試してみてくださいね。
Q.駐車場で当て逃げされた!この場合、どんな対処をすればいい?
ショッピングやレジャーを楽しんで駐車場に戻ると、身に覚えのないキズやヘコミが…!思いがけない事故に気づいた瞬間、せっかくのウキウキ気分が台無しになってしまいます。大きな傷を伴うものから、ドアが当たりえくぼ状のヘコミがついてしまう「ドアパンチ」まで程度は様々ですが、不特定多数の出入りがある駐車場では、些細なキズであればあるほど、本来弁償すべき加害者がその場を立ち去るケースも多くなります。
加害者にならないよう細心の注意を払うことは当然ながら、相手が逃げてしまった場合は、泣き寝入りするしか手がないのでしょうか…? 答えはNOです。
マンションの駐車場や月極駐車場の場合
管理者・管理会社に連絡を取り、設置されている防犯カメラを確認してもらえば、加害者を特定できることも多々あります。
不特定多数が利用する商業施設などの駐車場の場合
加害者特定が困難なうえ、車両保険で修理すると等級が下がり年間保険料が高くなりがちに。とはいえ、商業施設の駐車場における当て逃げは、公道上で発生した当て逃げと同様の扱いとなりますので、警察に通報して防犯カメラで車種とナンバーが確認できたら、犯人が検挙されることもあります。
些細なキズでも大きなキズでも、加害者を見つけて責任を追及したい場合は、証拠のひとつとなるキズやヘコミを直さず、粘り強く警察に相談を繰り返しましょう。そこで犯人を発見できた場合は損害賠償を請求し、応じない場合は訴訟も検討しなくてはなりません。
被害を防ぐためには、ドライブレコーダーや「ドラレコで監視中」のステッカーを装着する、ドアパンチが起きにくい高級車の隣に停めるなどの対策が有効です。
Q.駐車していた車にカギをとじ込んでしまったのですが…。
いつもは、ちゃんとキーを抜いてカギをかけるのに、うっかり車内にキーをとじ込んでしまった!実はこうしたトラブルは多く、JAFの出動件数もタイヤやバッテリ関連と並んで毎年上位に食い込むほどになっているのです。
遠方に出かけていると、スペアキーを自宅に取りに帰ることも、家族などに持ってきてもらうことも困難なため、どうしたらいいかわからずパニックになる方もいますが、ここは一旦落ち着いて、JAFへ出動を依頼するか、加入している自動車保険会社の受付窓口に連絡し、ロードサービスで開錠作業をしてもらいましょう。
とはいえ、JAFや自動車保険のロードサービスの到着から開錠完了までにはそれなりの時間がかかるため、お子さまやご年配の方が一緒であれば、待機場所や水分補給には気を配りましょう。GWに長距離ドライブを予定している方は、念のため財布などにスペアキーを1本入れて常に持ち回るようにしておけば、万が一メインキーを車内にとじ込んでも、すぐに対処できるので安心です。
まとめ
家族そろってのレジャーは楽しいものですが、普段とは違う原因でトラブルに遭遇す駐車場におけるトラブルはその最たるもので、万が一遭遇するとせっかくのGWレジャーが、台無しになりかねません。
高速道路や幹線道路など、公道上における安全運転の心がけはもちろんのこと、今回の駐車場トラブル対策・防止法を参考にして、より有意義で楽しいGWをお過ごしいただけると幸いです。