
多くの自動車メーカーが今、車と人の新しいつながり方をさまざまなスタイルで模索し始めています。その象徴と言えるのが、「つながる」ためのITシステムにつけられた、「●●コネクト」と呼ばれるテクノロジーです。車がネットワークに接続して外部とつながり、リアルタイムで情報の受送信ができる。そんな次世代の車はコネクテッドカーと呼ばれています。
しかし、同じ「コネクト」という言葉がついていても、インターフェースに独自性を採り入れることで優れた操作性を追求したもの、インターネット通信を介してナビゲーションなどの利便性を高めようとするもの、あるいはカーライフそのものまで積極的にサポートするものなど、つながり方や機能はさまざまなタイプがあります。違いや特徴を知っておけば、今後のマイカー選びにもきっと役立つはず。今どきの「●●コネクト」、それぞれの特徴を見てみましょう。
トヨタ「T-Connect」はとことん人に寄り添う
トヨタは2020年までに、日本と北米そして中国向けに発売する新車のすべてに、インターネット通信機能を備えたデバイスを標準搭載することを明らかにしました。
この通信機能や対応するスマートフォンなどを使って、愛車をもっと便利で親しみある「つながる車」にすることが、トヨタの「コネクト」の目指すところであり、それを実現するのが「T-connect」です。2018年にフルモデルチェンジしたクラウンやカローラスポーツから標準搭載されるようになり、対応車種を急速に増やしています。

出典:トヨタ
最先端を感じる主な機能
オペレーター機能: iPhoneのSiri のように、AIと対話することで機器の操作方法やナビゲーションの目的地設定といったサポートを受けることができます。曖昧なリクエストにも対応してくれる、柔軟かつ丁寧なサービスがウリです。
デバイスと連携: 「つながるトヨタ車」専用の保険プランなどのアプリの提供、走行情報や車両の位置などを連携したカーナビ専用アプリが充実しています。
オンラインケア: オペレーターによるサポートやオンデマンドでの地図更新、緻密な渋滞予測情報を反映した目的地設定機能、事故が起きてしまった時の緊急通報など、とにかく「あったらいいな」を丸ごと対応してくれる優れもの。コネクテッドカーの旨味をしっかり引き出した、最先端のサービスを受けることができるのです。
日産「Nissan Connect」は世界とつながることができる!?
トヨタと同様に日産も、通信機能を介した「コネクテッドカー」の展開を積極的に進めています。ルノーと三菱自動車との連合では、グループが販売する新車の9割を2022年までに「コネクト」することを目標として掲げました。
その先駆けとも言えるサービス「Nissan Connect」は、2017年からサービスを開始。専用の通信ユニットのほかスマートフォンにも対応しています。

出典:日産
スマホとの強力な連携でユニークなサービスを展開
オペレーター機能: ナビゲーション操作を分かりやすく解説してもらえる機能です。
テレマティクス機能: 独自に収集した交通情報をもとに、最速ルート探索機能を実現しています。また、相手に居場所を伝えたい場合は、ボタンを押すだけで住所と地図を送ることができる「ここです車メール」が便利。
デバイスと連携: AndroidおよびiPhone の一部で使うことができるアプリサービスも注目したいところ。駐車場でマイカーを見失ってしまった時に、おおよその位置を教えてくれる「マイカーファインダー」、鍵をかけ忘れたりドアを離れたりしても自動でロックしてくれる機能など、困りごとを即座に解決してくる便利なアプリがいっぱい。
読み上げサービス: Gmailに届いたメールもやTwitterのタイムラインの読み上げしてくれるので、運転中の情報収集もラクラク。グーグルカレンダーとの連携もできるので、移動しながらスケジュール管理もできます。
ホンダ「インターナビ」は「ホンダ・コネクト」でグローバル化
ホンダ独自のカーナビゲーションサービスとして「インターナビ」を全モデルに展開してきたホンダ。これは、対応するナビゲーションを装着したホンダ車が走っている状況をリアルタイムで把握し、分析したデータを交通情報として配信するテレマティクスサービスと呼ばれるものです。
2014年、グローバル向けの次世代インフォテインメントシステムとして「ホンダ・コネクト」が発表されていますが、日本市場向けには今の所、インターナビが「つながるホンダ」を象徴するサービスです。Android AutoやApple CarPlayとの連携といったエンターテインメント性能が強化されるなど、ますます便利で使いやすく進化しています。

出典:ホンダ
テレマティクスの膨大なデータを有効活用
テレマティクス機能: 膨大なデータをもとにした精度の高いルート案内や防災情報などが、カーナビゲーションをより便利なデバイスへと進化させてくれます。実際に東日本大震災の時には道路の通行状況をいち早く情報提供するなど、その有効性をアピールしています。
スバル「STAR LINK」革命は、北米仕様から
「つながるスバル」の代名詞と言えるのが、「STAR LINK」です。日本で現在提供されているのは、スマートフォンと連携するためのアプリのみです。一方、スバル車が人気の北米市場では、最新の「STAR LINK」として「つながる」機能を生かしたさまざまなサービスが展開されています。
スマートフォンを使って車の空調システムを操作したり、緊急通報や車両位置情報提供したりするなど、安全やセキュリティ関連のサポートも充実しています。レストランやホテルの予約といったプレミアムなサービスも設定できるというとても贅沢な北米版「STAR LINK」は今後、グローバルに広がっていくことが確実視されており、2022年までには、日本でも8割以上の新車が同様のサービスに対応する計画が明らかにされています。

出典:スバル
毎日、さりげなく役に立つさまざまな情報をキャッチ
デバイスと連携: スマートフォンを介して天気や音楽、ニュースなどのさまざまなコンテンツを、車載のナビゲーションでも楽しむことができます。
マツダ「マツダ コネクト」は独自のインターフェースが魅力
マツダが2013年からグローバルで採用し始めた「マツダ コネクト」は、専用の7インチセンターディスプレイや手元で操作するダイヤルタイプのコマンダーコントロールなど、インターフェースの部分からくっきりと独自性をアピールしています。

出典:マツダ
ネットラジオなど、エンタメ機能は世界レベル!
エンターテイメント機能: これまでに紹介してきた「コネクト」とはちょっと異なり、インターネットラジオ局や多彩な音楽ソースを配信するステーションへの対応など、よりエンターテインメントの選択肢が幅広い印象です。
デバイスと連携: ナビゲーションソフトはオリジナリティにこだわっている一方で、Android AutoやApple CarPlayにも柔軟に連携しています。現在はすべてのマツダ車で「つながる」楽しさを満喫することができるようになりました。
三菱「MITSUBISHI CONNECT」も間もなく新世代へ
現在始まっている日本向けの「MITSUBISHI CONNECT」は、スマートフォンとの連携ができる仕様になっています。今後は、さらに先進的な「つながる三菱」の次世代技術、「MITSUBISHI CONNECT」が大きく進化することが明らかにされています。
愛車の各種機能のリモートコントロールや、AIによるサポートと事故につながる各種の情報の提供、お店の予約といったホテルのコンシェルジュ的なサービスなど、毎日の生活がより快適で便利なものに変わりそうです。このサービスは北米市場からスタートし、日本も含めて順次、グローバルに展開されることになるでしょう。

出典:三菱
Android AutoやApple CarPlayを車内で使える
デバイスと連携: Android AutoやApple CarPlayに対応するディスプレイオーディオを装備。音声操作のほか、音楽のストリーミング再生も可能です。最新バージョンでは、Google Mapの高精度な経路案内も利用できるようになりました。
スズキ「スズキ・コネクト」のサービスはインドからスタート
スズキの場合も三菱と同様に、最先端の「つながる」サービスの展開を、まずはスズキにとって非常に重要な市場であるインドからスタートしています。
導入されている「スズキ・コネクト」は、インターネット通信を利用して愛車の位置情報を確認できたり、緊急通報を行ってくれるもの。運転についてのアドバイスなども受けられるのだとか。快適なカーライフをサポートしてくれるこのサービスには興味津々ですが、残念ながら日本導入の可能性は明確にされていないようです。
まとめ
家電製品など、さまざまなモノとインターネットがつながる「IoT」は、私たちの生活をますます便利なものに変えてくれます。つながる車「コネクテッドカー」も、さまざまな形で私の移動時間をより快適で充実したものに進化させてくれるでしょう。今後、さらなる進化に期待が高まりますね。
