家族を守って安全運転!「危険予知トレーニング」のススメ | Smartdrive Style

車を運転する上で、知っておきたいことや学んでおくと助かることはたくさんあります。その中でも、ドライバーと家族を守り、安全な走行を手助けするのが事故回避のための練習法の危険予知トレーニング」です。

とくに、「普段から運転するのは自宅近辺の慣れ親しんだ道だけ」「免許を取得したばかり、あるいは自分の車を買ったばかり」「免許はあるけど、何年もハンドルを握っていない」など、運転経験が浅い方々であれば、ちょっとしたドライブに行く時でも、強い不安を感じることがあるのではないでしょうか。

家族と楽しいドライブ時間を過ごすためにも、イメージトレーニングのひとつとして、危険予知トレーニングを実践してみませんか?

 

自動車事故の防止活動に積極的に取り組んでいる独立行政法人自動車事故対策機構(通称「NASVA=ナスバ」)は、自動車を運転する時の「危険予知トレーニング」について、次のように定義しています。

「運転中に遭遇する様々な交通場面において、事故の原因となりうる危険要因を予測し、的確に回避するための訓練」

わかりやすく説明すると、「事故に遭わないために、あるいは事故に遭った時もその被害をうまく避けるために、周囲で起きるかもしれない危険な出来事をあらかじめ考えながら運転する癖をつける」ためのトレーニングということです。様々な危険な状況をイメージトレーニングしておけば、実際に何かが発生してしまった場合にも、素早く判断し対応することができます。

ある実験によれば、予想もせずにふいに何かが起きた場合とあらかじめ予想していて何かが起きた場合、それぞれの事態に対応するまでの時間には約0.75秒の差が生じるのだそうです。ほんの一瞬のように思えますが、時速40kmで走っているクルマなら約8mも進んでしまう計算です。

つまり、このわずかな差が、事故に遭遇する確率を大きく変えるということ。危険予知ができれば、事故を回避するだけでなく、心に余裕を持った運転ができるようになるのです。

 

実例をもとに考える、状況別回避策

国家公安委員会から「交通事故調査分析センター」として指定されている公益財団法人「交通事総合分析センター(通称ITARDA=イタルダ)」が公開している事故事例の中には、危険予知をしておけば事故そのものが防げたかもしれないケースがいくつも紹介されています。

よくあるケースをあげて、「こんなときどうすべきか」を考えてみましょう。

実例①交差点での出会い頭の事故

事故の概要:A車は、幅3.7mの見通しの良い道路を時速約40kmで走行していましたが、考え事をしていたため、前方交差点の一時停止標識を見落とし、そのまま交差点に進入しました。そのため、交差点を右方から進行してきたB車の左側面に自車前面を衝突させ、左前方のたんぼに転落。Aは衝突するまで、B車にまったく気付かなかったと言います。Bは、自車が優先道路を走行していたため、交差点で相手が停止すると思い、左右の安全を確認せず時速約45kmで走行していました。交差点から14m手前で初めてA車に気づきブレーキをかけたものの間に合わずに衝突。

交差点での出会い頭の事故はよくあるケースです。道路は見通しがよく、しっかり一時停止の標識が設置されていましたが、ドライバーは一時停止を怠ってしまいました。この場合、優先道路側のドライバーも「優先」だからといって気を緩めることなく、左右の安全に気を配りながら走っていれば、衝突を避けることができたかもしれません。

 

実例②見通しの悪いカーブで衝突

普段走り慣れた道だからこそ、気が緩みやすいもの。センターラインが書いていない道幅の狭い道路だと、対向車がふいに目の前に現れた場合は回避が難しくなります。とくにオートバイは、ブレーキやハンドルを急に操作すると、動きが不安定になってしまいがちです。

Aは、時々通るセンターラインのない狭い道を時速約60kmで走行していました。急いでいましたが、前方の見通しの悪いカーブに差しかかったため、念のため時速約40kmまで減速。この時、交通量が少なく対向車は来ないと思い込み、道路中央よりを通行したところ、前方約40m先に対向のB車を発見。ショートカット気味で走行していたため衝突は避けられないと考え、急ブレーキをかけ転倒、B車と衝突しました。Bは、カーブの見通しが悪い中、前方のカーブミラーに対向車のA車が見えたため、約30kmに減速しました。A車がグラグラと向かって見えたため、停止しようと更にブレーキを踏みます。そして停止したところへ、転倒したA車が衝突。

このケースのようにゆるやかなカーブで先がよく見えない場合は、「対向車は来ないだろう」ではなく、「対向車が来るかもしれない」と、常に危険を予知しておかなくてはなりません。

 

ネットで簡単!危険予知トレーニング

自治体や地域の警察、あるいは企業単位でも、こうした危険予知トレーニングをメインテーマにした安全運転講習会が開催されています。ただ、参加するための時間をなかなか割くことができない、という人もいるでしょう。そこで利用したいのがインターネットで利用できる危険予知トレーニングです。

タイプがいくつかあるので、自分がわかりやすいもの、苦手箇所がしっかりトレーニングできるものを選んで実践してみましょう。

ここでは二つのトレーニングを紹介させていただきます。

JAF

動画で撮影されたよくあるシーンをもとに、そこに潜む危険をクイズ形式で考えて行く形式です。昼間の住宅街、夜間の走行時、駐車場、高速道路、雨天時など、ドライバーの視点で「どのシーンで何に注意すべきか」を考えて答えます。回答後は、こんな時に何に注意すべきかを丁寧に解説してくれますし、360°動画でVR体験もありますので、車窓から見た時の臨場感があるリアルな体験ができます。運転中は「もし〜〜だったら…」は起きませんので、苦手な道路やシーンがある場合は、様々な視点で危険を予測してもいいでしょう。

■JAF(日本自動車連盟)実写版危険予知トレーニング
http://www.jaf.or.jp/eco-safety/safety/kyt/

 

HONDA

「交通センスを身につける」というキャッチコピーで、危険予測、危険予知トレーニングを通して、安全運転のセンスやマナーなどを学ぶことができます。フキダシ付きのアニメーションで、走行シーンの設定がJAFの実写版より細かく、ドラマチックに楽しめるのが特徴です。車、自転車、歩行者、様々な視点から交通安全を楽しく学ぶことができます。おこさまも一緒にトレーニングしましょう!

■HONDA 危険予測トレーニング
https://www.honda.co.jp/safetyinfo/kyt/training/

 

危険予知運転はみんなに優しい運転でもある

ふいに何かが起こると、大抵の人は大きくハンドルを切るなど、雑で唐突な操作が行われがちになります。不意な動作だと同乗者を不安な気持ちにさせてしまいますが、逆に次のアクションに備えて運転している時には、ハンドルさばきやアクセルペダルの踏み方ひとつにもゆとり出て安心感を与えます。

つまり、危険を回避するための危険予知トレーニングは、同乗者に優しく穏やかでスムーズな運転へとつながるのです。そしてこの方法はエコドライブにもつながり、燃費向上にも一役買ってくれます。

危険予知トレーニングの基本的な考え方は、「だろう」運転からの脱却です。相手が止まってくれるだろう、ここでは対向車は来ないだろう、子どもや高齢者が横断することはないだろう…まずはこうした先入観を捨てることが大事です。

また、人の見ているものには常に限界があるということも覚えておいてください。車は歩く時とは比べものにならない速度で移動しますので、さまざまな実験を通して視界そのものが狭くなることは周知されています。

車には常に死角がありますので、「見えていない=そこに危険が潜んでいない」ということにはなりません。危険予知トレーニングは、そうした潜在的な危険性にも対応することができるのです。

 

まとめ

「明日は久しぶりにマイカーで少し遠くへお出かけしよう」というときは、隙間時間を利用して、ぜひ危険予知トレーニングをやってみませんか?自分のドライブスタイルを見直し、安全への意識を高める機会にもなるはずですよ。

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