春は愛車と船旅しない?家族旅行でカーフェリーを利用してみよう | Smartdrive Style

寒い冬を超え、テレビや雑誌で桜の開花情報が出始める頃、「そろそろ家族で遠出でもしようかな」と旅行計画を立てる人も多くなるのではないでしょうか。

飛行機や新幹線の旅も楽しいですが、マイカーで春の風を感じるのも心地よいものです。しかし、何百kmもの長距離移動となると疲れが生じ、目的地に着いた頃にはドライバーも同乗者の家族も、全員クタクタになってしまうことも。

そこで、いつもと違う旅の演出としてオススメしたいのがカーフェリーです。

この記事では、カーフェリーの利用方法、魅力やメリットとともにデ利用時の注意点についても解説します。

 

フェリー(ferry)という言葉自体は「渡し船」という意味で、本来は車やバイク(以下車と表記)を積まずに短い距離で人だけを運ぶ小型船のことを指すものです。一方、カーフェリー(carferry)は基本的に中・大型の船体で、長距離間において人と車を運ぶ「輸送船」のことであり、貨物船は一般的にカーフェリーと呼びません。

カーフェリーが他の船と最も異なる点は、船体に数層の「車専用甲板」があり、そこへ車を積み込むための大きなランプウェイ(坂道)を備えていることです。このランプウェイを自走し、車が積み込まれます。カーフェリーの歴史は案外古く、今から80年以上前、現在の北九州市で2隻のカーフェリーが就航したことに端を発します。

現在のように、片道数百kmに及ぶ長距離カーフェリーが誕生したのは、1968年の阪九フェリー(日本初)からですので、丸半世紀わたって便利な交通手段として活用されています。

主なカーフェリー会社と国内航路

沖縄・長崎・瀬戸内地方には、短距離・小型のカーフェリーもいくつかあり、地元住民の方に利用されていますが、数百kmレベルの移動ができる中・大型カーフェリーの路線数は、新幹線や飛行機の普及や高速道路の整備に伴い、年々減少しています。

そのため現在、日本長距離フェリー協会に加盟している主要フェリー会社は次の8社のみです。

  • 新日本海フェリー
  • 太平洋フェリー
  • 商船三井フェリー
  • オーシャン東急フェリー
  • 宮崎カーフェリー
  • 名門大洋フェリー
  • 阪九フェリー
  • フェリーさんふらわあ

九州・四国・本州・北海道をすべて行き来できるとはいえ、2018年12月末時点では14航路のみしか稼働しておらず、新幹線や飛行機と比較すると多いとは言えません。

ニュアンスで言えば、九州と四国であれば「福岡・大分・宮崎・鹿児島・徳島」、本州の太平洋側は「大阪・名古屋・東京・仙台」、日本海側の場合は「舞鶴・新潟・秋田」、北海道の「苫小牧・小樽」など、列島各所の主要な港町を中継しながら網羅しているイメージでしょうか。車と一緒という点を考慮すれば、各観光地への移動がしやすいので、天候さえよければどの航路も1年365日、上り方面も下り方面も休まず運航していて利用しやすいといえます。

また、神戸と鹿児島からなら沖縄へ行けるカーフェリーも就航していますので、船旅と一緒にダイビングなどの「春の南国レジャー」も楽しめるのです。

詳しいダイヤについては、日本長距離フェリー協会「航路案内」にてご確認ください。

 

カーフェリーの予約・利用の流れ

利用したことがない方なら、実際にどうやって利用すればいいのか、乗船にあたって必要なものは?などいくつか疑問があるはず。ここでは予約や利用の流れを説明していきましょう。

予約は2カ月前からできる

空きさえあれば、予約なしでも当日の乗船が可能です。しかし、直前過ぎると好きな船室を選ぶことができませんし、満席の場合はキャンセル待ちをしなくてはならないため、込み合う行楽シーズンは事前予約をしておいた方が良いでしょう。

予約開始のタイミングは、フェリー会社や航路によって異なりますが、たいていは乗船予定日の2カ月前から可能です。各社HPの予約申し込みフォームや電話はもちろん、旅行代理店でも予約することができます。

また、乗船当日は出港の1時間前までに到着を、また、混雑するGW・年末年始・夏休みなどの長期休暇は余裕をもって1時間半前には乗り場ターミナルに到着するようにしましょう。

乗船当日の流れ

まず車検証を見ながら「乗船申込書」に必要事項を記入し、窓口で「乗船券」を受けとりましょう。その後、係員の指示に従い、船内の指定スペースへ車を駐車します。順番待ちが長くなることもありますので、ご家族などの同乗者は車から降りて先に乗船しておくのが基本です。

また、船内の駐車スペースは隣の車との隙間が狭いことも多いため、大きな荷物は同乗者に渡し、ドライバーが持ち出すのは携帯電話や財布、小さな手荷物程度にしておいた方が良いでしょう。

フェリーが出発したら

乗船手続きと車の積み込みが完了して出港したら、車の保管スペースは安全確保のため封鎖されます。基本的に、係員以外は一切立ち入りできなくなりますので、船旅に必要なものは出航前に、忘れず車から持ち出しておきましょう。

カーフェリーは安い?高い?

船室のタイプによりますが、新幹線や飛行機と比較すると、カーフェリーの運賃は「割安」といえます。

カーフェリーの料金は、車の運賃と旅客運賃で構成されていますが、次の条件で大阪南港~新門司(福岡県・北九州市)の区間を「名門大洋フェリー」で移動した場合、片道32,690円という夜行バス並みのリーズナブルさになります。

  • 大人2人・子供2人(小学生以上)
  • 車長4m以下の自動車
  • 2等エコノミー(相部屋・雑魚寝スタイル)

この航路は12時間半近くの長旅となりますが、席が確実に確保できる指定席で、同じ大阪・北九州(小倉)間を新幹線で移動すると、4人合計で約56,000円料金が発生するため、2万円以上交通費を節約できる計算になります。

ですので、船旅を楽しみつつ旅行代金を押さえたい場合はコスパがいい選択だと言えるでしょう。また、カーフェリーは曜日やシーズにより料金変動が少なく、ネット予約割引や往復割引もありますので、活用するともっとリーズナブルに利用することができます。

 

カーフェリーの魅力・メリットとは

カーフェリーの醍醐味と言えば、出先でわざわざレンタカーを借りなくとも、乗り慣れた車で観光地巡りをできることです。しかし、それ以外にも魅力やメリットが満載です。

時間の有効利用と宿泊費が節約できる

飛行機や新幹線と比較して圧倒的に移動時間はかかりますが、その短所を長所として活かすべく、多くの航路が「夜間便」となっています。そのため、ぐっすりと船内で寝ている間に、目的地へ到着できる点は大きなメリットと言えるでしょう。飛行機や新幹線での移動は確かに速いですが、考えようによっては、寝ている間に移動できるカーフェリーの方が安く効率の良い移動手段になります。また、座ったまま寝なくてはならない夜行バスと異なり、相部屋であってもゆっくりと足を延ばした状態で睡眠が取れるので、体力を温存して目的地に向かうことができます。

船内施設で楽しめる

船内には、景色を楽しめる展望レストランや無料で利用できる展望浴場がありますので、雄大な海の景色をバックに食事やお風呂を楽しむことができます。船によってはゲームセンターや卓球台だけでなく、映画館やカラオケを完備しているものもあるため、時間を持て余すようなこともありません。行楽シーズンであれば歌謡ショーや、マジックショーが開催される航路、本格的なジムや疲れを癒すサウナまで備えている、大型フェリーも。これなら長時間の移動もしっかり楽しめますね!

エキサイティングな船旅

料金面や施設の充実度も大切ですが、せっかくの旅行なのでワクワク感やドキドキ感を得たいもの。強い風に帽子などが飛ばされてしまったり、雨天の際は濡れた床に足を取られたりしないよう注意は必要ですが、フェリーのデッキに上がれば180度の広大な海が広がり、日本海の荒波や太平洋の夕暮れなど、日常では味わえない刺激的な体験をすることもできます。

また、カーフェリーには旅慣れたベテランドライバーや、ライダーたちもたくさん乗船しているため、長い航海のうちに仲良くなれば、耳寄りな情報や穴場観光スポットなどをたくさん仕入れられることも!

 

カーフェリー利用時のデメリットと注意点

カーフェリーでの船旅は想像している以上に利便性が高く魅力的なメリットも豊富ですが、2点ほど注意点があります。

船酔いをすることがある

長時間の海上移動になるため、船内で食事していたり本を読んだりして過ごしていると、酷い船酔いをしてしまうこともあります。乗り物酔いしやすい方は酔い止めを持ち込み、出発当日や前日は暴飲暴食を控え、体調管理に努めましょう。

グレードを上げると金額が上がる

先程リーズナブルさを強調しましたが、使用する船室のグレードをアップすると、一気に料金が高くなります。たとえば、名門大洋フェリーの船室料金表では、エコノミーで6,680円(繁忙期を除く)ですが、特別室のスイートでは19,020円です。テレビや冷蔵庫だけでなく、バス・トイレも部屋ごとに設置されている「特等室」以上になると、エコノミーの約3倍もの料金がかかってしまいます。

とはいえ、高級ホテルのような快適さと心地よさを考えると、決して高すぎる料金設定ではありませんので、少し奮発すれば豪華客船のようなクルージングを家族みんなで堪能することもできるでしょう。

 

まとめ

使い勝手や居心地の良さ、さらにリーズナブルな料金体系を総合すると、カーフェリーはメリットも魅力も満載の移動手段。

春のさわやかな海風を感じながらの船旅体験も風情があって楽しいものです。時には愛車を引き連れての春旅行を計画してみてはいかがでしょうか。

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