
一昔前までは、乗り換え時にディーラーの下取りに出す方がほとんどでしたが、最近では、ガリバーなどの買取チェーンに売却したり、ヤフオクなどで個人売買をしたりするケースが増えています。
理由としては、ディーラーで下取りするより高く車を売ることができるからですが、その結果トラブルに遭遇したという声も少なくはないようです。
前回は購入時のトラブルについて説明しましたが、この記事では売却時に多いトラブルへの質問とその対処法について回答していきます。1月〜3月は車の売却や購入が増えますので、是非ともご参考ください!
Q.下取り手数料を請求されました
新車ディーラーに下取り査定を依頼すると、以下3つの名目で下取り手数料が請求されます。
- 下取り査定手数料
- 下取り車登録代行料
- 車両引取手数料
買取店の査定なら、店舗査定はもちろん自宅への出張査定も無料ですし、登録代行料や引取手数料を請求されることがありません。そのため、これらの下取り手数料はディーラー下取りの大きなデメリットと言えるでしょう。ただし、下取りの結果に納得がいかず中止した場合は請求されることはありません。
新車購入を決め下取りに出す際は、契約書に判を押す直前のタイミングで手数料の交渉をすると、あっさり値引きしてくれることもありますのでぜひ試してみてください。
Q. 契約後に買取査定額を減額されたら?
査定額を提示したにも関わらず、契約後に何かと理由をつけて大幅減額する手法を「二重査定」と言います。悪質な買取事例として消費生活センターへの問い合わせが増加し、社会問題に発展した時期もありました。
このような事例が発生する理由は、中古車売却時取り交わす契約書に、「契約後でも査定時点で発見できなかった不具合があった場合、減額する可能性があります。」という文言が確認できないほど小さな字で明記されていることも多いからです。
法的な話をすると、残念ながらこんな契約書でも有効となってしまうのです。なぜなら、
瑕疵担保責任・・・買主は売主に対し、売買契約締結後であっても、想定を超える欠損などが発覚した場合、損害賠償請求や契約解除をすることができる。
という民法上の規定が根拠となるため、故意はもちろん、売り手が全く知らなかった不具合が見つかった場合でも契約書通り査定減額をすることが可能だからです。
しかし、最近では大手買取チェーンを中心に、契約後の二重査定を自主規制する業者も増え、「JADRI(日本自動車流通研究所)」などの中古車業界全体の健全化を図る団体も、加盟各社に禁止を義務付けているため、発生件数は以前と比べて大幅に減ってきているようです。
とはいえ、まったくのゼロになったわけではありませんので、自社のHPなどで二重査定をしないことを公言している業者や、JADRIに加盟する優良買取店のリサーチ、何より契約書の記載事項をくまなく確認することが重要となります。
Q.下取りや買取後の無料キャンセルはどの時点までOKですか?
下取りや買取査定を受けても、何らかに事情があって売却を止めたいケースがあります。どんな場合でも、契約に至っていないなら、何度売却を取り下げても構いませんし、キャンセル料も一切発生しません。車の購入する場合は、契約が完了するとキャンセルにあたって違約金が発生しますが、売却時は必要書類と車両を引き渡す前の段階なら、無料でキャンセルすることも可能です。
注意すべきは、書類と車両を引き渡した後のキャンセルです。この段階に入ると業者も転売に向けて様々な手続きをしているため、一定額の違約金やキャンセル料が発生します。さらに新たな買い手が見つかっていたり、業者間オークションへの出品が済んでしまっていたりする場合は、有償や無償に関わらず一切キャンセルはできないと覚えておきましょう。
Q.買取店の営業マンがしつこくて困っています。
「もう結構です」と断ったはずなのに何度も電話がかかってくる。家に営業マンが訪ねてくる…。これはあなたの愛車を買い取りたいという担当者の熱意の表れでもありますが、ユーザーが嫌悪感を持つほどしつこいのであれば考えものです。
この場合は、毅然とした態度で店舗責任者に指導を求め、それでも改善しない場合はFC店なら本部のカスタマーセンターへ、個人経営店舗の場合は各地方の消費生活センターへ連絡してください。
営業マンには曖昧な返事をせず、売買する意思がないことをしっかりと伝えてください。ただし、買取店は販売店であることも多いため、念入りに売却の断りを入れても「それならせめて自分の店の在庫車を売ろう」と、中古車の販売営業にスイッチすることもあります。
売却の断りとともに次の車購入先が決まったこと、購入意思が一切ないことを伝えておけば大抵の買取店は引き下がりますが、しつこい営業行為が止まらない時はしかるべき処置を取りましょう。
Q.知人に車を売ったのに、自動車税の納付書が届いたら?
新車を購入する際、乗っていた車を下取りに出して購入総額を減らしたり、買取店に売って頭金の足しにしたりすることも多いですが、友人や知人に車を譲渡して代金を受け取るケースもあります。
ディーラーや買取店だと名義変更しなければ一切転売ができないため、抜け漏れなく手続きが行われます。しかし、個人間での売買や譲渡では、必要な手続きを知らずにそのまま引き渡されることもあるため、旧オーナーに自動車税の納付書が届いてしまうトラブルが発生するのです。
自動車税は、毎年4月1日時点の「所有者」に、納付義務が発生します。この日付や手続きが曖昧になっていると、「どちらが払うのか」と言った揉め事が起きてしまうのです。この場合、売却した相手との関係性によって若干異なってきますが、売買契約成立時点で自動車税を月割計算し、双方で分け合うのがマナーです。仮に7月1日に売買したのであれば、4~6月までの3カ月相当を旧オーナーが、残る9カ月相当を新オーナーが負担すべきでしょう。
とはいえ、法的な決まりはありませんので、最終的な着地点については双方の話し合い次第となりますので、自動車税の納付書がすでに旧オーナーの元に届いてしまっていたなら、すべてを負担しなくてはことも考えられます。
個人間売買での自動車税トラブルは非常に多いですが、今のところ、回避策は買い手にスムーズな名義変更を促すぐらいしか方法がありません。ですので、身近な相手との売買ならまだしも、不特定多数との取引になるオークションなどでの売却は、より一層注意が必要です。
まとめ
購入時にしても今回の売却時にしても、車の売買には大きなお金が動くため、ケースによっては裁判沙汰にまで発展しかねないトラブルになってしまう可能性もあります。
販売店や買取店の評判をしっかりとリサーチして対策を練っておけば、トラブルに遭遇してもすぐに対処することができますので、購入も売買も準備を怠らないようにしましょう。