
2018年は、トヨタを代表するセダンのクラウンが5年半ぶりに新型のモデルチェンジを果たしたり、日産が誇る大人気ミニバンのセレナにe-POWERモデルが追加されたりと、話題多き一年でした。
全体的な流れを見ると、N-BOXに代表される軽ハイト―ルの車種やプリウスやアクアなどのハイブリッドカー(HV車)が人気を占めていますが、2019年度はどんなトレンドの波が起きるのでしょうか?
そこで今回は、2019年に販売開始が予想されている主な新型モデルに共通する特徴を中心に、2019年度の最新トレンド情報をお伝えします。
ニュース1 軽ハイトール+最新安全技術が一般化する?

出典:HONDA
2018年上半期においてNO.1の新車販売台数を誇ったのが、2017年にフルモデルチェンジをしたホンダの2代目N-BOXです。その後、大きな差をつけられつつもスズキのスペーシアとダイハツのムーヴが追走、普通車も含め売上の上位を軽ハイトールの車種が独占しました。上位10車種中6車種が軽ハイトール車と、今がまさに全盛期と言えるでしょう。
軽ハイトール人気の理由のひとつとして、今まで普通車のみに採用されていた先進安全装備「自動運転技術」が軽自動車へも続々と搭載され始めたことがあげられます。この流れは2019年も継続する見込みです。2017年6月に登場したN-BOXを例にあげると、
- アクティブクルーズコントロール(ACC)
- ステアリング支援機能
- パーキングアシスト
- 衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)
- 誤発進抑制機能
といった、ホンダの普通車種と同等の安全技術「ホンダセンシング」を採用したことこそが、人気の起爆剤となったようです。
4や5などの予防安全運転技術は、普通車への採用とほぼ並行して行われてきましたが、1〜3の自動運転技術は室内空間の確保と燃費性能の両立を最優先にしたい軽ハイトール車には搭載が難しいとされてきました。しかし、ホンダは軽ハイトールの持ち味を損なうことなく、新型N-BOXに自動運転技術を搭載しました。1と2が採用されている軽自動車は今のところN-BOXだけです。
そんな中、スペーシアやワゴンRの2番看板を抱えるスズキは、マイルドハイブリットの採用で差別化を図っていますが、今年7月新たにNシリーズに仲間入りした、商用車バージョンの「N-BAN」もヒット中であるため、少々背中が遠のいている感が否めません。
そのため、今後の軽ハイトール戦線を左右するのは、自動運転技術が搭載されているか否かになるでしょう。他のメーカーもN-BOXに追いつくべく、ホンダセンシングに匹敵する自動運転を搭載した新型モデルの開発を進めていことでしょう。
ニュースその2 普通車トレンドの中心はe-POWERにあり

出典:日産
アクアやプリウスが引っ張ってきたエコカー路線を、日産のノートe-POWERが見事にかっさらっていったのも2018年の傾向でした。また、2018年2月にはセレナにもe-POWER搭載モデルが登場して人気を集めています。
日産は今後2022年までの間にこの2車種に加え、エクストレイル、ジューク、キューブの新型モデル、もしくは後継モデルにe-POWERを搭載し、市場投入すると発表しています。そこで、トヨタも大看板車種アクアを2019年度中にフルモデルチェンジするのではないかとみられています。
日産はこれまで手つかずにしていた軽自動車ベースのEV車の投入も視野に入れているようです。しばらくはBMW、ルノー、テスラなどといった、海外メーカーVS日産グループの形で、EV車の国内シェア争いが展開していく模様です。
ニュースその3 パパ世代は胸アツ!往年の名車が続々復活
HVやEVを除いた普通車のトレンドとしては、2019年半ばあたりから大きく2つの流れができそうです。
1つ目は、ホンダのヴェゼルやトヨタのC-HRなどが火付け役となった、コンパクトSUVの流行。この流れに便乗するように、現在、マツダのCX-3や日産のジュークも売れ行きが好調を見せています。このトレンドを受ける形で、元祖クロスオーバーSUVとして大ヒットしつつも、2016年を最後に国内販売が終了していたトヨタRAV4が、2019年春に大復活することが公式発表されました。根強いファンが多い車種ですので、発売を心待ちにしているユーザーもいるかもしれませんね。
また、もう1つの傾向としては、トヨタのスープラ、三菱自動車のGTO、ホンダのプレリュードなど、バブル世代を刺激する名車が続々復活する予定です。この復活ラッシュは、1990年代前半からのガソリン代高騰で始まった「燃費至上主義」の時代から、走る喜びや楽しみを求める時代へ少しずつシフトしていることを意味しているかもしれません。往年のカーマニアだけではなく、若い世代の車離れに歯止めをかけることも狙いのひとつです。
ニュースその4 東京オリンピックを意識した交通インフラの整備
日本国内と海外は道路事情だけでなく、車検や道路交通に関する法律にしても細かな違いがあります。
そのため、目前に迫りつつある東京オリンピックに備えた交通インフラのグローバル化も必要となってきますが、まず1つ目としてあげられるのが、「デイタイムライト」の点灯に関する法改正です。デイタイムライトとは、その名の通り「昼間点灯するライト」のこと。
日本ではデイタイムライトを法律上、「その他灯火類」と分類しており、明るさが300カンデラ(ろうそく300本分)以上の日中灯火は、交通規則違反として取り締まりの対象としていました。
しかし、BMWを始めとする海外メーカーの日本仕様車には、300カンデラを大きく上回るデイタイムライトが装備されていたため、大きな問題となっていたのです。その問題は2016年の法改正によって、1,440カンデラ使用可能とされました。
ランプの色が白色に限ること、大きさや形状に条件はありますが、2019年以降に販売される新型国産車の中には、このデイタイムライトを装備するモデルが登場してくるのではないかとみています。
また、オリンピックに先駆けて都内の公共交通網の整備がスタート。その最たる取り組みが、東京オリンピック時の交通渋滞の緩和と、世界に向けての環境対策アピールを目的とした、燃料電池で走行するバス「SORA」の開発と製造です。燃料電池バス(以下、FCバス)として国内初の型式認証を取得したSORAは、2018年3月から販売が開始されています。
環境への配慮はもちろん、災害発生時の非常電源として活躍できるシステムを採用したり、ベビーカーや車いす利用者の利便性を増す格納機能付きシートを搭載したりするなど、利用者に優しい様々な工夫がなされています。
暮らしやすい社会を作るバス・SORAの製造と販売を手掛けるトヨタは、2020年までに都内を中心として100台以上の導入を目指しています。2019年は、その雄姿を目にする機会も増えてくるかもしれません。
まとめ
最後に紹介したFCバスのSORAは、環境性能や利便性の高さから、自動車の運転から勇退した高齢者方や子育て世代の方のために全国各地へ普及してほしいと期待されています。若い世代の車離れや少子高齢化など目まぐるしく変化する社会の状況によって車も日々進化を遂げています。今後もその動向から目が離せません。