ファミリーカーといえば、実用性や経済性が高いコンパクトカーと軽自動車が定番のようですが、家族が増えたり、三世代でドライブを満喫したいというご家族であれば、余裕のユーティリティを持つミドルサイズのミニバンが選択肢として増えます。
最近は、どの車種でも基本的な走行性能が高く、各々に独自の魅力が盛り込まれています。今回は、ファミリーカーとして人気の3カテゴリーでトップセールスを記録したモデルに注目し、その人気の理由を探ります。新年、新たに車の購入を検討している方の参考になれば幸いです。
【コンパクトカー人気NO.1】日産 NOTE(ノート)

出典:日産「NOTE」
大人5人がしっかり乗れる実用型コンパクトハッチバック、日産ノート。2017年度国内販売(2017年4月〜2018年3月の累計)でコンパクトカーセグメントの1位を記録しています。2017年11月には「e−POWER(イーパワー)」が追加発売され、同月の車名別新車販売台数ではトップを記録。日産としては実に30年ぶりという快挙を成し遂げました。セールスでは、約11カ月で10万台の大台を突破。これもまた、他のモデルと比べて異例のペースです。2018年4月以降の販売も好調を見せ、9月までの4半期販売台数は6万3,303台と、軽自動車を除く登録乗用車全体の中でトップセールスを記録しています。
ノートの人気グレードとカラー
2017年11月にe−POWERがデビューした当時、ノート全体の販売台数に占めるe−POWER車の比率はなんと約70%に達していたそうです。その人気は1年を経ても変わらず、日産自動車が公開しているグレード別ランキング(2018年12月24日現在)でも、e−POWERを搭載するモデルが上位を占めています。
グレード別ランキング(2018年12月24日現在/メーカー希望小売価格はすべて税込)
1位 ノート e−POWER MEDALIST 2,353,320円
2位 ノート e−POWER X 2,021,760円
3位 ノート e−POWER MEDALIST FOUR 2,569,320円
「MEDALIST」は、専用の外装パーツやLEDヘッドランプ、本革巻ステアリングホイールなどの装備が充実した上級グレードで、「MEDALIST FOUR」は、2018年7月に追加された、e−POWER搭載車の4輪駆動モデルです。
ボディカラーは、華やかな印象のカラーが人気です。スタンダードなカラーバリエーションの中では、ブリリアントホワイトパールやブリリアントシルバーといった「定番」がよく選ばれているようです。
ボディカラーランキング(2018年12月24日現在)
1位 ガーネットレッド
2位 プレミアムコロナオレンジ
3位 サンライトイエロー
日産ノート人気の秘密は?
日産ノートはどんな魅力が人気を底上げしているのでしょうか。日産が行なったユーザー向けのアンケートで「満足した点」のトップに上がったのは「経済性」でした。
燃費の良さ=経済性と考えると、最も評価されている機能はe−POWERだと言えるでしょう。e−POWERは、100%電気で走行できる、リため、リッターあたり最大で37.2km という夢のような低燃費を実現します。搭載された電気モーターは、排気量の大きな車に匹敵するほど力強い加速力を発揮してくれるのです。
e−POWERにはガソリンエンジンも搭載されていますが、あくまで発電をするだけです。そこで作られた電気がバッテリーに貯められ、必要に合わせて電気モーターを駆動します。乗り心地の良さでも、e−POWERは高い評価を受けています。あらゆる意味で先進的な機能を盛り込んだノートは、老若男女を問わず広い年代に支持されているようです。
日産ノートの強力ライバルたち
日産 ノート e-POWER MEDALIST | トヨタ アクア S“Style Black” | トヨタ プリウス Sツーリングセレクション | |
価格 (税込) | 2,353,320円 | 1,979,640円 | 2,732,400円 |
JC08モード燃費 | 34km/ℓ | 34.4km/ℓ | 37.2km/ℓ |
最高出力 | 80kW | 54kW+45kW※ | 72kW+53kW/5.3kW※ |
最大トルク | 254Nm | 111Nm+169Nm※ | 142Nm+163Nm/55Nm※ |
※エンジン+モーター
ノートのライバルは、同じようにコンパクトなボディで経済性の高いモデルです。販売台数ランキングでトップ争いを演じているトヨタのプリウスやアクアがその筆頭と言えるでしょう。
トヨタの両モデルは、ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッドカーですが、ノートのe−POWERと異なるのは、エンジンが発電だけでなく、タイヤを直接駆動させる役割も果たしているところ。アクセルペダルの操作にとても素直に反応する感覚は、e−POWERの魅力のひとつですが、トヨタのハイブリッドカーはe−POWERとは一味違う、独特の運転やフィーリングを感じさせてくれるのです。
【軽自動車
人気NO.1
】ホンダ N-BOX

出典:ホンダ「N-BOX」
軽自動車とは思えない室内の広さとカクカクしたボクシーなスタイルが、ホンダ N−BOXシリーズ(N−BOXカスタムを含みます)の魅力。2017年9月1日にフルモデルチェンジを果たし、第二世代へと進化を遂げました。N−BOXシリーズは2017年4月〜9月までの2017年度上期の車名別新車販売台数が、登録車も含むすべての新車販売台数の中で第1位を記録しています。
当然のように2017年度は通期で、販売台数トップの座を獲得。その勢いは衰えることなく、2018年11月期には15カ月連続で新車販売の第1位を達成し続けています。N-BOXシリーズは今、日本で販売されているすべての車の中で、もっとも売れている自動車だと言えるでしょう。
N-BOXの人気グレードとカラー
N-BOXシリーズの売れ行きに関して公表されている最新のデータは、2017年10月に発表された、新型発売〜1カ月後の受注状況に関するレポートです。購入層の中心は子育て中のファミリー層ですが、シニア世代にも高い人気を誇ります。今まで、ホンダ車のコンパクトカーやミニバンに乗ってきた層が、次々にN−BOXシリーズに買い換える傾向も見られるそうです。シリーズにはスタンダードなN−BOXと、ドレスアップされたN−BOX カスタムのふたつのスタイルが用意されていますが、当初人気だったのはカスタムのほうで、シリーズ全体で56%の売り上げを占めていました。
グレード別ランキング(2017年10月5日現在/メーカー希望小売価格はすべて税込・FFのもの)
1位 N−BOX G・L Honda SENSING 1,499,040円
2位 N−BOX カスタム G・L Honda SENSING 1,698,840円
3位 N−BOX カスタム G・L ターボ Honda SENSING 1,895,400円
人気の中心は、ベンチシート仕様でリアの左側にパワースライドドア、充電用USBジャックや後席用のロールサンシェードが標準で装備されている「G・L」系。パワフルな走りが楽しめるターボエンジン搭載車は、カスタムの方が圧倒的な人気です。
ボディカラーは、2トーンカラーが上位を占めます。単色系では、シリーズを通して鮮やかなホワイトパールが一番人気です。2位以降は、N-BOXは爽やか系のブルーメタリック、ちょっとヤンチャなカスタム系はキラメキ感のあるブラックの比率が高くなっています。
ボディカラーランキング N-BOX(2017年10月5日現在)
1位 プレミアムアイボリー・パール&ブラウン
2位 プレミアムホワイト・パールⅡ
3位 プレミアムアガットブラウン・パール&ホワイト
ボディカラーランキング N-BOX カスタム(2017年10月5日現在)
1位 プレミアムホワイト・パールⅡ&ブラック
2位 プレミアムホワイト・パールⅡ
3位 クリスタルブラック・パール
ホンダ N-BOX人気の秘密は?
最近は、さまざまなメーカーがこぞって安全運転をサポートする先進装備を展開しています。ホンダも新世代に生まれ変わったN−BOXシリーズに「Honda SENSING」と呼ばれる先進技術を採用しました。「選ばれる理由」の一つとして、この先進技術は真っ先にあげられるようです。国内販売のミニバンとしては最上級と言える安全運転サポート機能が搭載され、その充実ぶりはオデッセイにも匹敵するほどです。レーダーとカメラ、二種類のセンサーを使った贅沢な先進システムは、約30km/hから作動するACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を装備。前を走る車との車間距離を適切に保つように、自動的に速度を制御してくれるのです。シニア人気も納得と言えますね。
さらに、65km/hを超える高速走行時に、車線からはみ出さないようにハンドルを操作してくれるLKAS(車線維持支援システム)を採用しています。このような高い安全性に加え、第二世代はさらに室内が広くなったことも安定した人気の秘密。上級モデルからの乗り換え組が増えた理由のひとつには、ゆとりのある走りや乗り心地の良さといった、自動車としての走行性能の進化も挙げられるようです。
ホンダ N-BOXの強力ライバルたち
ホンダ N-BOX G・L Honda SENSING | スズキ スペーシア HYBRID X | 日産 デイズ ルークス X Vセレクション | |
価格 (税込) | 1,499,040円 | 1,468,800円 | 1,501,200円 |
JC08モード燃費 | 27.0km/ℓ | 28.2km/ℓ | 22.0km/ℓ |
最高出力 | 43kW | 38kW+2.3kW※ | 36kW※ |
最大トルク | 65Nm | 60Nm+50Nm※ | 59Nm※ |
※エンジン+モーター
販売台数ランキングや広さ、走行性能を比較すると、スズキのスペーシアシリーズ、日産のデイズ ルークスシリーズがライバルだと言えるでしょうか。
スズキ スペーシアとスペーシアカスタムは、ガソリンエンジンをモーター機能がアシストしているため、燃費が良く、シャキッとした走りを楽しむことができます。ただしACC機能はありません。車線を外れたら警告をしてくれますが、運転のサポート自体はないのです。
一方の日産デイズ ルークスは、日産のミニバン系のドレスアップバージョンすべてに共通する「ハイウェイスター」や「ライダー」などの特別な仕様が設定されています。ディスプレイ式のルームミラーには、日産自慢のアラウンドビューモニターが映し出され、駐車する時の安心感を高めてくれます。
【中級ミニバン 人気No.1】日産 セレナ

出典:日産「セレナ」
ファミリーユースとしてはサイズ的にも価格的にも、定番的なポジションにある中級ミニバンのカテゴリー。そこでは日産セレナとトヨタ ヴォクシーが、ミニバン販売台数トップの座をめぐって熾烈な競争を繰り広げています。そんな中、2018年4月〜9月までの2018年度上半期を制したのは日産のセレナでした。自動車販売協会連合会の調べによれば、この期間のセレナは47,472台を記録。対するヴォクシーは、40,746台で6,700台ほどの差をつけられました。
セレナの人気グレードとカラー
セレナのグレードはとっても多種多彩です。ミニバンですが、走る楽しさを極めた「NISMO」という名のスポーツモデルまで販売されています。2018年3月に追加ラインナップされた「e−POWER」のラインナップは、センセーショナルでした。
グレード別ランキング(2018年12月24日現在/メーカー希望小売価格はすべて税込)
1位 セレナ e−POWER ハイウェイスターV 3,404,160円
2位 セレナ ハイウェイスター VセレクションⅡ 2,874,960円
3位 セレナ e−POWER XV 3,128,760円
もっとも人気を集めたのはe−POWERと、カッコいい日産ミニバンの代名詞と言える「ハイウェイスター」のコンビネーション。迫力たっぷりのエクステリアに、e−POWER専用のブルーを配したフロントグリルがお似合いなコンビです。
ボディカラーは、2トーンカラーが主流で、もっとも人気がある組み合わせは、ブリリアントホワイトパールとダイヤモンドブラックの2トーンカラー。日産の塗装で注目したいのは、「スクラッチシールド」と呼ばれる、特殊なクリア塗装です。これは洗車などでついた微細な傷が、時間をおくと自然に消えてしまうというなんともマジカルな技術。ちなみにランキングでご紹介している3タイプの2トーンカラーのうち、ルーフ部分のダイヤモンドブラックとインペリアルアンバーが、このスクラッチシールド技術を使用しています。
ボディカラーランキング(2018年12月24日現在)
1位 ブリリアントホワイトパール&ダイヤモンドブラック
2位 カシミヤグレージュ&インペリアルアンバー
3位 マルーンレッド&ダイヤモンドブラック
セレナ人気の秘密は?
家族がロングドライブを楽しむシーンが非常に似合うミニバン。このカテゴリーでは、乗っている人みんなが快適に過ごせる室内空間、乗り降りや荷物の積み降ろしのしやすさなど、さまざまな「使いやすさ」が求められます。セレナはそうしたニーズにもしっかり対応しつつ、e−POWERというライバルにはない特別なメカニズムで先進性をアピールしています。
ヴォクシーが搭載しているハイブリッドも電気モーターでアシストしますが、セレナの場合は100%モーターで走行します。時にはタイヤを動かすこともあるヴォクシーのハイブリッドとは根本的に発想が違うのです。そしてもうひとつ、セレナならではの特別な装備と言えるのが、「プロパイロット」でしょう。これは、前を走る車と安全な車間を自動的に保ちながら、車線の真ん中を自動的に走ってくれる最先端のアシスト技術。「自動運転」というイメージに今、もっとも近いテクノロジーです。高速道路でのロングドライブは疲れ知らずです。
日産 セレナの強力ライバル
日産 セレナ e-POWER ハイウェイスターV | トヨタ ヴォクシー HYBRID ZS | |
価格 (税込) | 3,404,160円 | 3,363,120円 |
JC08モード燃費 | 26.2km/ℓ | 23.8km/ℓ |
最高出力 | 100kW | 73kW+60kW※ |
最大トルク | 320Nm | 142Nm+207Nm※ |
※エンジン+モーター
販売台数を競い合うヴォクシーは、e−POWERに匹敵する高効率なハイブリッドシステムを搭載しています。ただしデビュー時期が違うこともあって、その性能にはかなり差がある印象です。電気モーター特有のタイムラグが少少なく、スムーズな発進ができるセレナは、キビキビとしたドライブが楽しみたいお父さんにはとても魅力的に思えるでしょう。街中での流れにも乗りやすいので、自然に車をコントロールできる感覚がちょっと運転に自信がないお母さんの安心感にもつながるかもしれません。
ヴォクシーは、ミニバンとしての優れた性能もさることながら、非常にアグレッシブで若々しいルックスが人気のポイント。とくに、売れ筋のグレードとして人気が高い特別仕様車「煌(きらめき)」の存在感は強烈です。
まとめ
今回、ご紹介した3つのカテゴリーは多彩な車種がリリースされている「激戦区」。たからこそ選ぶ楽しみもひときわだと言えるでしょう。それと同時に、人気モデルの魅力を知った上で、ライバルたちの個性に注目するのも面白いかもしれません。