
タイヤや足回り関連パーツは、その重要性から車検時の主な点検項目にもなっています。そのため、安全かつ楽しくカーライフを過ごすためにも、タイヤ関連のトラブル対処法と大まかなメカニズムを知っていれば役に立つことがたくさんあるはず。
「車トラブル相談室」3回目では、タイヤや足回り関連でありがちなトラブルの対処方法について解説していきましょう。
Q.スペアタイヤが車に付属されていません。これってフツウ?
非常用のスペアタイヤがない状態で走行中にパンクしてしまうと、最寄りの車業者まで移動できる手段がなくなり、場合によっては立ち往生してしまうことも…。
なぜ、最近の車にはスペアタイヤがついていないのでしょうか?
最近の車にスペアタイヤがついていない理由は次の3つです。
1.「ランフラットタイヤ」が装着されているから
ランフラットタイヤとは、タイヤの空気圧が何らかの原因でゼロになっても、時速80kmと距離80kmを目安に走行できるタイヤのことで、主に高級セダンや輸入車に採用されています。
ランフラット装着車はに、空気圧減少をセンサーで感知しドライバーへ警告する、TPMS(※)が装備されています。これにより、小さなパンクによる空気圧の微減も発見することができるため、安全性の向上につながるとされているのです。
しかし、ランフラット走行をした場合、その後の修理はできず新品への交換が必要となります。この種類は通常のタイヤより高価で乗り心地が少々固めなため、いまいち普及が進んでおらず、新規での購入は現実的ではありません。
※タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システムの略称、通常ランフラットタイヤとセットで装備されているが、ランフラットタイヤ単体での装着も可能。
2.「応急パンク修理キット」が装備されているため
スペアタイヤをなくすことで室内空間を広くさせ、デザインの自由度を向上させることを目的に、近年このパターンでスペアタイヤがついていない車種が増えています。
修理キットにはエア漏れを抑える修理剤と充填用エアコンプレッサーが入っています。備え付けの取扱説明書に従えば、誰でもどこでも簡単に処置ができますが、あくまで応急処置でしかありませんので、長距離・長時間の走行は控えるようにしましょう。
また、修理剤はごく軽度なパンク1ヵ所分のエア漏れを緩和する量しか充填されておらず、以下のような場合は修理不能となりますので、販売店やJAF、自動車保険に付随されているロードサービスに至急連絡して対処を依頼してください。
- タイヤの損傷が激しい
- パンクが2ヶ所もしくは2本に及んでいる
- タイヤ側面のキズが原因のパンクである
- パンク原因がホイールの変形・損傷にある
3.中古車の場合:スペアタイヤが破損・紛失している状態で前オーナーが業者へ売却し、そのまま販売されたものを購入したため
仮にパンクをしてしまったらJAFなどの業者へ連絡して対処を依頼するしかありませんが、費用がかさむ可能性もあるため、中古車を購入する時はスペアタイヤがあるかどうかをしっかりと確認しましょう。また、スペアタイヤが付属していないモデルの場合は修理キットが使用済の可能性もあります。使用できない状態であればカー用品店などで購入し常備しておいた方が良いでしょう。
スペアタイヤは6~8千円で購入できますし、パンク修理キットは簡易的なものであれば2千円〜、コンプレッサー付きの本格的なものだと1万円ほどです。元々スペアタイヤが設定されていた車なら、工具は残っている可能性もあるので、繰り返して使えるスペアタイヤを購入して車に積んでいた方が経済的と言えるでしょう。
スペアタイヤへの交換作業は、付属している工具とジャッキで行うことができますが、自分で交換する際は反射板や発煙筒などを利用して、安全をしっかり確保してください。
タイヤホイールは強くナット締めされていますし、付属のジャッキは簡易なものでかなり力を込めないと車体が上がらないため、体力的に一人で交換作業を行うことが難しい場合もあります。一人で対応できない場合や夜間時の交換作業は控え、手慣れた専門業者へ作業代行を依頼したほうが無難です。
Q.タイヤを選ぶときのコツを教えてください。
ブリヂストンやヨコハマタイヤをはじめとする国内メーカーから、ミシュランやグッドイヤーなどの海外メーカーまで、タイヤには数多くの商品がラインナップされています。そのため、車に詳しくない方であれば、それぞれのタイヤの特徴や違いが分かりにくいかもしれません。
よく、海外メーカーのタイヤは摩耗が早く、もちが悪いという話を耳にしますが、摩耗が早いタイヤはしっかりと路面を捉え、強いグリップ性を発揮している証拠でもあります。海外メーカーのタイヤは、高額商品であるほどグリップ力を重視する傾向にあるため、性能が国産メーカーに劣るわけではありません。
反対に、いくら使ってもなかなか減らない廉価タイヤは、ブレーキの効きやカーブ走行時のグリップ力が低いと評価することもできるのです。また、そうしたタイヤはゴムの質が堅めですので、衝撃吸収率や静粛性において国内外問わず、どのメーカーの商品でも一歩劣ってしまいます。
つまり、同じメーカーの商品であっても、リーズナブルな価格帯で販売されているタイヤは長寿性に重きが置かれ、高額商品になるほど静粛性や乗り心地などが向上するのと引き換えに、寿命が短めになるということです。
加えて最近では、転がり抵抗を減らすトレッドパターンの採用しつつ、特殊素材を材料に練り込むことでグリップ力を維持したまま燃費性能アップを狙った、「エコタイヤ」も登場し、多くのユーザーから支持されています。
ブリヂストンの「エコピア」や、ヨコハマタイヤの「ブルーアース」などがその代表例で、同サイズの通常タイヤより若干値段は高めですが、普段から走行距離が長くガソリン代がかさんでいる方なら、十分な費用対効果を期待できる燃費性能を備えています。
Q.ブレーキオイルが減っていると言われたら、すぐに交換すべき?
ガソリンスタンドでの給油中スタッフに声をかけられ、ついでとばかりにお願いした安全点検で、リザーブタンクを見ただけですぐに「ブレーキオイルが減っているので交換が必要です」と言われた場合は、ほぼ「交換不要」です。
「ブレーキオイルが減っていると不安だし、すぐに交換すべきではないの?」と思われるかもしれませんが、ほとんどの場合は減っているのではなく、ブレーキパットの摩耗に伴い、「減っているように見えるだけ」です。もし、本当にブレーキオイルが減っていたならば一大事です。オイル交換どころか、オイルが減少した理由を徹底的に調査して、原因箇所を大至急整備しなければ、重大事故につながりかねません。
どうしても不安な方は最寄りの整備工場、特にブレーキ関連パーツの分解が許可されている認定・指定工場に持ち込み、詳しくチェックしてもらいましょう。
Q.ハンドルを大きく切ったとき異音がするのですが…。
低速で車を大きく方向転換する時に聞こえる異音。これは、エンジンの動力をタイヤに伝える「ドライブシャフト」を保護するため、FF車であれば前輪ホイール側と、ミッション側の両端へ装着されているゴム製のブーツが破れている際に発生するものです。
ドライブシャフトブーツと呼ばれるパーツの中には、ベアリングとその潤滑剤であるグリスが詰まっていますが、破れた状態で走行していると路面ではじいた小石などの異物がグリスに張り付き、ベアリングと接触して異音を発します。シャフトブーツは消耗品ですので、異音が出始めてすぐのタイミングで交換してしまえば、ベアリングやシャフト本体への損傷を防ぎ、異音を消すことができます。
しかし放置しておくと、「コロコロ・カラカラ」といった乾いた感じの小さな異音から、だんだんと「ガラガラ・ゴリゴリ」といった大きな異音に変化していきます。こうなってしまうと、ベアリングやシャフト交換しなくてはならず、大きなコストが発生してしまうことも。
シャフトブーツの寿命は5年または5万km程度と長いですが、ハンドルを切る機会が多い街乗りの方が早く消耗します。異音や違和感を感じたときは、大きなトラブルに発展する前に修理工場などで点検してもらい、破れている場合は早急に交換しましょう。
まとめ
タイヤや足回りは、ドライバーや同乗者の命を守るための重要なパーツが多く含まれているうえ、不具合が発生した時の修理コストも軒並み高めです。異変に気付いたらすぐに対処するようにしてくださいね。
引き続き、運転中に気になったこと、「こんな時どうすればいい?」など、保険からメンテナンスまで、気になることからちょっとした質問、ご相談をお待ちしております!
2018年もあっという間に年末になりましたね。皆様におかれましても、良い新年を迎えてください。
また来年もよろしくお願い致します!