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スタッドレスタイヤでもNG?大雪時のチェーン装着義務化について

スタッドレスタイヤでもNG?大雪時のチェーン装着義務化について

2018年11月15日、警報が発令されるほどの大雪が降って積雪による立ち往生などが発生しやすい状況になった際、高速道路や国道の指定区間において、すべての車にタイヤチェーンの装着を義務化する方針を国土交通省が示しました。この時、一緒に発表された新標識も公開され、話題になっています。

今回は、タイヤチェーンの義務化が進んだ背景と目的、新たに設けられる罰則規定を解説したうえで、施行に備えてタイヤチェーンを選ぶポイントをお伝えします。

 

チェーン義務化が進んだ理由

2018年は、各地で豪雪による交通障害が数多く発生した年でした。1月早々から首都圏では珍しい20cm超の積雪が記録されましたが、首都高速中央環状線で大型トレーラーの立ち往生に起因する大渋滞が発生することとなり、ほぼ終日周辺の道路機能が麻痺する事態に陥りました。

また、翌月の2月には、積雪には慣れているはずの福井県と石川県を結ぶ国道8号線で積雪量約1mを超える大雪を起因とした被害が発生。約1,500台にも及ぶ大規模な立ち往生が丸2日間にわたって続きました。

どちらもチェーン未装着車、しかもトレーラーなどの大型車の立ち往生が問題となりました。交通機関の麻痺は経済的にも大きな打撃となりますが、立ち往生が長時間にわたるほど、乗員の生命に危険が及ぶ可能性もあるためその点が不安視されたのです。

万が一、夜間冷え込む時間帯にガス欠などでエンジンが停止し、暖房が使えない車内に取り残された場合は「凍死」の危険性が高まります。また、暖房をかけ続けることができたとしても、大量の積雪によって車体下部が覆われてしまうと、マフラーから排出される一酸化炭素などの有害物質が車内に流入し、中毒症状を起こすリスクもあるため非常に危険です。

今回発表されたチェーン規制は、都市機能に甚大な悪影響を与えかねない交通障害を防ぐことが1つ目の理由、そしてドライバーと同乗者の命を守ることを2つ目の理由として、改正・施行されたのです。

チェーン装着の義務化が実施される区間と開始時期

積雪時に立ち往生が発生しやすいのはインターチェンジなどにある急勾配地点であり、過去には事実勾配率「5%」を超える地点で、多くの立ち往生が発生しています。

それを受けて、国土交通省では先述した国道8号線の一部区間を含む20区間を2018年度中にチェーン装着義務化区間として指定しました。2019年度以降も年次指定個所を増やし、最終的には全国の幹線道路を中心に、約200ヵ所まで拡大していく予定です。

 

違反したらどうなる?罰則規定と注意点

今までのタイヤチェーンは、積雪時走行における「規制」でしかありまでした。チェーン規制された道路を未装着で走行した場合にのみ、高速・一般道とも違反点数2点を課されるだけで、反則金はありません。

しかし今回、規制から義務になったことで厳罰化がなされたため、指定地域で未装着だった場合は「6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金」という刑事罰に処せられてしまうことに。スタッドレスタイヤを装着していても違反の対象となるので注意が必要です。

今回の法改正に伴い、チェーン装着義務区間を示す新標識も公表されました。

この新標識は常設ではなく、移動可能な可変式として導入される予定です。豪雪などでチェーン未装着車の立ち往生が予測される当日、指定区間においてLED電光表示で規制が周知されます。警報発令レベルの大雪が降った際に、立ち往生が懸念される区間に限り、実施される規制です。

そのため、普段はスタッドレスタイヤを装着していれば大丈夫だと思っていても、荒天が予想されるときに幹線道路を走るときはチェーン装着しなければならなくなります。見慣れないかもしれませんが、この標識もしっかり覚えておきましょう。

 

チェーン装着義務化に対する疑問の声も

これまで国土交通省は、除雪車などを活用して幹線道路の通行止め区間減少を目指してきました。しかし、少子高齢化に伴い除雪オペレーターの人材不足顕著となってきたため、この除雪方針を、「通行止めをしなくても走行できる時間の延長」へシフトチェンジしています。

その最たる例が今回のチェーン装着義務化ですが、毎年豪雪に見舞われる地方のドライバーからは、「北国での雪道走行の実態を知らなすぎる」という指摘もちらほら上がっているようです。

これには理由があり、積雪に慣れていない首都圏での立ち往生はともかく、北陸や東北など雪深い地方はたとえチェーンを装着しても、警報レベルの大雪時には走行がままならず、義務化が無意味になってしまうというのです。つまり、チェーン装着義務化に踏み切っても北国においては負担増になるだけで、交通障害などが予防できるわけではなく、適切な通行止め指示と迅速な除雪に頼らなければ、どのみち立ち往生は発生するという主張です。

確かに、タイヤチェーンは本来、大量に新雪が降り積もった路面を走行するため作られたものではなく、数センチレベルの積雪時や凍結した路面で一定の制動性を確保するため存在するもの。ですから、この主張は決して間違いではありません。しかし、チェーンの装着が立ち往生の歯止めにならないかと言えばそんなこともないため、義務化が指定される区間がどこになるのか、今後の成り行きに注目も集まっています。

 

大雪時のチェーンはどのように選べばいい?

首都圏や大雪に慣れていない地方にお住まいの方は、もしチェーン装着義務化区間が近くに指定されたり、指定区間を走行しなくてはならなくなったりした場合、「チェーンの選び方がわからない」という方もいるかもしれません。ここでは、タイヤチェーン装着の基礎知識とともに、タイプ別のメリットとデメリットをお伝えします。

 

チェーンは「駆動輪」に装着しましょう!

タイヤチェーンには適合サイズがあるので、所有している車に合ったサイズのチェーンを購入して装着しなくてはなりません。チェーンは基本的に2本1組で販売されていますが、車のタイヤはご存知の通り4本。チェーンはそれぞれFF(前エンジン前輪駆動)の場合は前輪2本に、FR(前エンジン後輪駆動)の場合は後輪2本に装着することになります。4WD(4輪駆動)であれば4本すべてに装着する必要はなく、後輪2本に装着すればOKです。

4WD は車体に表記があるのでわかりやすいのですが、自分の車がFFなのかFRなのかわからない、という方も少ないないはずです。最近の車種はほとんどがFF車ですが、しっかりと確認しておきたいなら車検証にある「前車軸重」と「後車軸重」を確認します。前者が重ければFF車、後者が重ければFR 車です。

 

段階に応じて早めの装着を心がけよう

降雪・積雪の予報が出ているなら「できるだけ早めに」というのがまず前提です。ただ、目安をお伝えするなら高速道路や各幹線道路では、

「スリップ注意」→「冬用タイヤ規制」→「チェーン規制」

というように走行上の注意や規制を標識や道路交通情報で段階的に喚起します。目的地へ向かうルートで「冬用タイヤ規制」という表示が出ていたら、SAに立ち寄りチェーン装着に取り掛かった方が良いでしょう。

金属製チェーンのメリットとデメリット

現在の主流となっている強固な金属でできているすべり止めチェーンは、この後触れる非金属製チェーンの約1,7倍も使用されています。編み込み状のダイアモンド型チェーンとはしご状のラダー型チェーンの二種類の型があり、ダイヤモンド型の方が高価ではありますが、左右への横触れに対する安定性が高いとされています。

金属製チェーンのメリットは、なんといっても寿命の長さと滑り止め効果の高さ。熱処理加工された特殊合金製の上級チェーンであれば、直進走行の安定性や横滑りの抑止能力と耐久性は非金属製の比ではありません。

デメリットは、シャカシャカ・ジャリジャリとうるさい走行時のノイズです。こちらは「安全」を考えれば多少我慢すべき点かもしれません。近年は高精度なものが多くジャッキアップも必要ないため、慣れれば5分ほどで装着できたりします。

ただし、装着時の不手際や不適合サイズのチェーンを誤って装着した場合、タイヤハウス等を傷つけてしまいますし、破損してはずれてしまったら周囲の車両へ迷惑がかかる可能性もあるので、装着には万全を期す必要があります。

非金属製チェーンのメリット・デメリット

非金属製のチェーンはゴムや樹脂などが主な素材で、ドレット面にはアイスバーンなどで強いグリップ力を発揮するスパイク上のピンが点在しています。一般的に「ゴムチェーン」と呼ばれる非金属製チェーンのメリットは、固いだけの金属製チェーンと異なり、ゴムによる柔軟性でロードノイズや、車体・乗員への衝撃が軽減されること。

また、金属製に比べ耐久性に劣り、半ば使い捨てのような扱いを受けてきたゴムチェーンですが、近年は強度性や低温への対応力、さらに耐摩擦・耐油性などの強い「ポリウレタンエストラマー」を採用するチェーンも増えており、年々高性能化・長寿命化しています。

装着も容易で素材が柔らかいため車体へのダメージも少なく、デメリットはあまりないように思われるかもしれません。最新素材や技術によって進化し続けている非金属製チェーンは、価格的に少々高いことだけが唯一のネックです。

 

まとめ

交通障害だけでなくドライバーの生命に関わる事態になりかねない以上、チェーン装着義務化は当然の流れかもしれません。しかし、チェーンを装着していれば100%安全と言う訳ではありませんので、装着後の走行はスピードを控えていつもより安全運転を意識するなど、細心の注意が必要です。

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