危険だとわかっていても減らないのはなぜ?みんなで防止したい飲酒運転 | Smartdrive Style

忘年会や新年会、さらに親戚が一堂に会する飲み会などなど、何かとお酒を飲む機会が増える年末年始シーズン。飲み会は親しい方との親睦を深めたり日頃のストレスを解消したりするのに大事な時間ではありますが、「飲んだら乗るな!」の意思だけは絶対に忘れてはならないことです。これは、ご自身もそうですし、周りへの注意喚起という意味でも同じです。

今回の記事では改めて飲酒運転の危険性を伝え、予防への意識を高めていただきたいと思っています。

 

飲酒自体は満20歳を超えた成人であれば、何ら問題のない行為です。ただし、アルコールが1滴でも体内に入ると、運動能力・判断力・自制心や理性などが軒並み低下し、視覚や聴覚などの五感が鈍くなってしまいます。

そんな状態での運転は、どんな理由があっても「一切してはならない」行為です。「そんなことわかっているよ」と思われるかもしれませんが、以下で飲酒運転の法律的な基準を紹介しますので、より危険への意識と飲酒運転への理解を深めていきましょう。

飲酒運転は2種類ある

飲酒運転は、日本の道路交通法で「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2つに分類されています。

飲酒運転関連のニュースを目にすると、「基準値の○倍以上のアルコールを検知しました」と報道されるため、血中アルコールの残存量によって分類されると思っている方も少なくはないでしょう。しかし、実は血中アルコール濃度の値に関わらず、「飲酒により正常な運転ができないおそれがある状態」であると判断された場合、即座に酒酔い運転として検挙されます。

一方、警察官の指示による検査の結果、呼気から0.15mg/L以上のアルコール濃度が検出されてしまうと、運動能力や判断能力の程度に関わらず「酒気帯び運転」として検挙されます。0.15mg/Lという数値は一般的な基準値とされています。あくまで理論上の話ですが、体重60kgほどの成人男性が350mlの缶ビールを1本飲んだだけでも、確実にこの基準値に達します。

「ちょっと口をつけただけだから」基準値を超えないとは限りませんし、日本酒・焼酎・ウイスキーなど、アルコール度数の高いお酒になると、あっという間に基準値は超えます。また、酔い加減は人それぞれですから、ほんの少し飲んだだけであっても、警察官に酒酔い運転と判断された場合、検挙されることもあります。そのため、一滴でも飲んだら運転しない、運転するなら一滴も飲まない、という姿勢を徹底することが大切なのです。

お酒を飲んだら出る症状リスト
1.動体視力が落ちて視野が狭くなるため、信号の変化や路上の人や車の動きの見極めが遅れる。
2.抑制がとれ理性が失われているため、運転に必要な判断力が低下する。スピードを出し ていても気づかなかったり、乱暴なハンドルさばきをしてしまうことも。
3.集中力が鈍っているため、とっさの状況の変化に対応できなくなる。
4.運動をつかさどる神経が麻痺しているため、ハンドル操作やブレーキ動作が遅れがちになる。
5.体の平衡感覚が乱れ、直進運転できず、蛇行運転をする。それによって、信号無視、カーブを曲がりきれない、横断中の人の見落とし、ハンドル操作の誤り、ガードレールや電柱への衝突などが発生する。

 

飲酒運転による事故発生件数と重大化する被害状況

警視庁の調査によると、2016年度における飲酒運転に伴う交通事故発生件数は3,752件で、前年と比較して107件減少したものの、近年は下げ幅の停滞傾向が指摘されています。また、死亡事故率を飲酒有無別に見ると、飲酒運転の死亡事故率は飲酒なしの約8.4倍、酒酔い運転の死亡事故率は飲酒なしの約17.0倍も多く発生しているのです。

飲酒運転に伴う死亡事故の内訳は、単独事故がほとんどで運転者や同乗者が死亡する事例が多いものの、第三者を死亡させる事故が約25%発生しています。事故発生の時間帯は夜間となる22時から翌6時までが中心ですが、「出勤のため二日酔いのまま運転してしまった」「しっかり睡眠を取ったので大丈夫だと思った」などを理由に事故が起きたケースも少なくありません。

飲酒終了から死亡事故発生までの経過時間は、飲酒直後から1時間までが最も多く発生しており、飲酒終了から一定時間経過後にも死亡事故が発生しています。夜遅くまで飲酒した場合は、翌朝でも体内にアルコールが残っている可能性がありますので、車の運転は控えましょう。

 

飲酒運転で検挙された際に受ける行政処分・刑事罰

当たり前ではありますが、死亡事故発生率が高い酒酔い運転の方が酒気帯び運転より行政処分と刑事罰が厳しくなります。

酒酔い運転を検挙されると、どんな理由にも関わらず運転免許の基礎点数が35点減点されます。そうなれば、免許が取り消され3年間は「欠格期間」となるため、この間は全く免許を取得することができません。

また、酒気帯び運転は0.15mg/l 以上0.25mg/l 未満の場合で13点減点ですから、累積違反をしていなくても90日の免停処分が下されます。そして、0.25mg/l以上になると、減点は25点と一気に厳格化されるため、酒酔い運転同様に免許取り消し、かつ2年間欠格となります。

飲酒運転には反則金が存在しませんが、その代わりに刑事罰が課せられることになります。運転者はもちろんのこと、以下のように関係した人にも刑事罰が課せられる可能性があるのです。

 

分類

刑事罰
運転した本人 運転者に車両を提供した者 酒類を提供した者及び同乗
酒酔い運転 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
酒気帯び運転 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金

極端な言い方をすれば、「反則金だけで済むような安易な違反行為ではない」ということかもしれません。基本的には罰金を収めることで懲役刑は免れますが、仮に支払いが不可能であった場合、交通刑務所への服役が必要な上、罰金を支払ったにせよ前科として残ることになります。つまり、飲酒運転は重大な違反行為であるということです。

 

飲酒運転には補償がない

飲酒運転は軽度の酒気帯びであれば罰金を修めることで、免停期間を過ぎれば運転を再開することができますし、重度の違反であっても2年、もしくは3年の欠格期間を乗り切れば、運転免許の再取得が認められます。

しかし、事故を起こして被害者になってしまった場合、その賠償責任は非常に重いものとなります。さらに自動車保険に未加入であった場合、自賠責保険だけでは賠償しきれず、経済的に立ち行かない状況になりかねません。

さらに、自動車保険に加入していても、飲酒運転による事故で運転者の車が損傷した場合は車両保険がおりず、運転者自身が後遺障の残るような怪我を負ったり、最悪死亡したりするようなことがあっても、基本的に保険金を受け取ることができないのです。

なぜなら、飲酒運転は麻薬を使用ながらの運転や無免許運転と同格とみなされ、免責事由の1つになっているからです。被害者保護の観点から対人・対物保険は適用されますが、車両保険や搭乗者傷害保険、人身傷害保険は支払われないことがほとんどです。

常に、「万が一」を考えて、ハンドルを握るよう心がけましょう。

 

飲酒運転撲滅に向けて取り組むべきこととは

前の晩に大量にお酒を飲み、翌朝酒気帯び運転をして事故を起こしたドライバーが逮捕されたケースがあります。先ほども説明しましたが、酔いがさめるまでには一定の時間がかかるためこのような悲惨な事故が起きてしまうのです。

体重約60kgの成人男性であれば、ビール中びん1本または日本酒1合、焼酎0.6合を飲酒してからアルコールが体内から消えるまではおよそ3~4時間です。それ以上の飲酒であればその倍以上の時間がかかるということです(ただし、個人差があります)。ですので、前日に飲みすぎたな、と思ったら翌日は運転を控えるべきだと言えるでしょう。

「飲んだら決して運転してはいけない」そう自覚している方が大多数のはずですが、ここまで解説したように、撲滅に至るまではまだまだ道半ばというのが現状です。それでは、飲酒運転を無くすために私たちが取り組むべきことはどんなことでしょうか。

飲酒運転撲滅のためにも、警察では飲酒運転への罰則規定が段階を踏んで厳格化されている反面、飲酒が運転等に与える影響について理解を深めるため、運転シミュレーターや飲酒体験ゴーグルを活用した参加・体験・実践型の交通安全教育を推進しています。(一財)全日本交通安全協会等が推進している「ハンドルキーパー運動」への参加を呼び掛けるなど、関係機関・団体等と連携して 「飲酒運転を許さない社会環境づくり」に取り組んでいます。

なかなか飲酒運転が減らない場合は、呼気を吹きかけてアルコールが検知されるとエンジンがスタートしない機能が車に搭載したり、高速道路の料金所にアルコールチェック機能を完備して検知すると通過を許可せず警察に通報されたりするような「飲酒運転撲滅インフラ」を整備するなんてことも、今後は考えられるかもしれません。

また、単独事故が多い状況を考慮すると、周りからの声掛けも非常に重要になってきます。大切な家族の顔を思い浮かべたら、安全運転の大事さが染み入るはず。家族間で飲酒運転の怖さを共有しつつ日常的に声掛けし合うのも、飲酒運転の予防啓発に繋がるのではないでしょうか。

 

まとめ

楽しく年末年始を過ごすためにも、改めて気をつけておきたい飲酒運転について触れました。誰しもが飲酒運転の危険性を理解しているとは思いますが、それでも毎年、そして連日、飲酒運転による悲しい事故のニュースは後を絶ちません。

大切な人たちを守るためにも、一人ひとりが「飲酒運転を絶対にしない、させない」という強い意志を持ち、周りの方にも注意を促すなどして、みんなで飲酒運転を防止していきましょう。

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