第2回目となる車トラブル相談室では、走行するために必ず必要なガソリンや軽油などの燃料関係のトラブルの対処法について解説します(電気自動車や水素自動車は除きます)。
車をよく利用している方であれば、このところ燃料代が高騰を続けていることも気になる問題ですよね。この回では、燃費についての疑問にもプロの立場からズバリとお答えしていきましょう。
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Q. 燃料を間違えて給油してしまったのですが?
JAFが公表したデータによると、2015年12月の燃料の誤給油による出動要請件数は全国で269件も発生しています。これは単純計算しても年間で3,000件以上のトラブルが発生していることになります。
ドライバーが誤給油したことを気付かないまま走行し、エンジンに何かしらの異常が発生して初めて出動依頼がかかったというケースや、給油中に気が付いて慌てて止めて連絡したりするケース、そしてJAF以外の業者に救援を依頼するケースもあるため、3,000件という数字はあくまで氷山の一角でしょう。
実際には、この数倍は誤給油をしたことがある方がいると思われますが、これは1998年の消防法改正によって規制が緩和され、ユーザー自身が給油をする「セルフスタンド」が増加したことが大きな要因です。
もちろん燃料の小売り業界側も本来無色無臭の各燃料にあえて色と臭いをつけたり、給油ノズルをガソリンと経由ではっきり色分けしたり、周辺に従業員を配置したりして、誤給油を防止する手立てを打っています。
しかし、ガソリンなのか軽油なのかがいまいちわかりにくい車種もあるため、いつも乗っている愛車ならともかく、他人から借りた場合はうっかり間違えてしまうこともありえます。中には、「軽自動車だから軽油だと思った」という年配ドライバーの話もあったりします。
もし、入れ間違いに気が付いたら、速やかに給油を停止してスタンドのスタッフにその事実を伝え、「エンジンを始動する前」に燃料を抜ききってしまえばOKです。そうすれば、作業工賃は発生しても大きなトラブルにはなりません。問題は、夜間でスタンドにスタッフが誰もいない時や、入れ間違いに気づかず走行中にエンジンの不調が発生した時です。
セルフスタンドであれば、一見無人に見えても店内に必ず危険物取扱いの資格を所持した「給油許可スタッフ兼ガードマン」がいますので、備え付けのインターフォンから指示を仰ぐのもいいでしょう。また、24時間稼働しているJAFや、自動車保険に付随するロードサービスに連絡し救援を依頼するのも手です。
一方、誤給油に気付かないまま走行をしてしまい、なんらかのエンジントラブルが発生した場合は、こちらもJAFかロードサービスに出動要請してレッカー移動をしてもらう、燃料を抜く作業をしてもらうなど、症状に応じた修理・交換などの処置をしてもらいましょう。
専門的な話は割愛しますが、軽油をガソリン車に入れてしまうより、ガソリンを軽油車に入れてしまった時の方が重症化しやすい傾向にあります。エンジンを始動・走行させなければ、ほぼ問題ないということは共通するものの、後者の場合、走行中排気ガスが真っ白にモクモクと上がる状態になると燃料ポンプや噴射ノズルの交換が必要になることもあります。
逆に、燃料が空のガソリン車に100%に近い軽油を入れてしまった場合は、そもそもエンジンがかからないことも多いため、必然的に専門業者に抜き替えを依頼するしか手がありません。ガソリンが残っていて軽油と混ざってしまった場合は、走行するものの加速が悪くなり、そのうち排気ガスが黒く変化し、やがてエンジンが停止しますが、抜き替えをすれば大きな修理に繋がらないこともあります。
最後に1つ、誤給油に伴う燃料の抜き替え作業は資格と知識、そして作業時の引火を防ぐアースなどの設備が整った専門業者のみができる作業です。非常に危険ですので、くれぐれも工賃がもったいないからと自分で実施するのは避けましょう。
Q.安いガソリンは燃料を薄めていると聞きましたが、本当ですか?
結論から言うと、そんなのはまったくのデマです。ついでにお伝えすると、「安いガソリンを入れたら燃費が悪くなった」という声も、単なる勘違いと思い込みにすぎません。一般的に、安い価格でガソリンを提供しているスタンドは、「無印スタンド」や「PB(プライベート)スタンド」と業界内で呼ばれることが多く、エネオス、コスモ、出光などの看板がデカデカと掲げられている、「元売りスタンド」と区別されています。
では、どうして無印スタンドやPBスタンドの方が、元売りスタンドより低価格であることが多いのでしょうか。それは、前者は仕入れ先が元売りに限定されるため、いつでも仕入れ価格が一定ですが、後者はその時一番安いメーカーから、自由に仕入れることができるからです。
ガソリン・軽油・灯油の原材料は当然原油ですが、冬場の需要が伸びる灯油だけを生産することは不可能ですし、ガソリンと軽油も同時に生産されます。軽油と灯油は比較的ながく保存ができるため需要に合わせて出荷調整しやすいのですが、ガソリンは日持ちせずにすぐ品質が低下するため、余った場合は安くともどこかに売りたいのがメーカーの心情です。
つまり、そういった余剰ガソリンをかき集めて安く販売しているのが、無印・PBスタンドという訳です。言ってみれば大手元売りガソリンを、アウトレット販売しているようなものでしょうか。ここで肝心の品質ですが、国内で販売されているガソリンは「JIS」によって、厳しく規格化されているうえ、「品確法」にもとづいて元売りスタンドは年に1回、全国石油協会に販売商品のサンプルを提出し、品質が確保されているか、検査を受けなくてはなりません。
万が一、品質がJIS企画に合わないガソリンが見つかった場合、業務停止命令などの厳しい法的処分が下されるのですが、無印・PBスタンドの場合なんと10日に1回の頻度で、この検査を受け続けなければなりません。というわけで、ガソリンを薄めるなんてことをすれば一発で業務停止ですし、価格の安めな無印・PBスタンドの方が元売り系より頻繁に品質チェックがなされているので、燃費が低下することもまずありえません。
Q.最近愛車の燃費が下がってきているようなのですが原因は?
クルマを利用していると「いつも通りの道をいつもの時間、いつものように走っているのに、なんだか燃費が悪くなってきたなあ」と感じる方はたくさんいます。急発進や急加速が多いわけでもなく、エアコンの使い方を変えたわけでもないのに、燃費が低下した場合、次のような原因が考えられます。
1. タイヤの空気圧が低い
路面との摩擦係数が増え、エンジンに余計な負担をかけていることも。
2.スパークプラグの異常
数本あるスパークプラグのうち1本が着火しなくとも、他気筒エンジンは走行できるケースも多いですが、否応なくパワーが低下し同時に燃費も悪くなりま
3.ATF及びCVTオイルの汚れや不足
エンジンオイルより長寿命ながら、3~5万kmあたりを境に汚れが増え始めます。そのため、シフトチェンジがスムーズでなくなり、燃費に悪影響を及ぼすことも。
4.エアコンオイルの不足
上記ほど大きな影響はありません、頻繁に使用するエアコンオイルの状態が悪いと、コンプレッサーの負担が高まり燃費性能が若干低下する可能性があります。
いずれにおいても燃費低下だけでなく、タイヤ空気圧が低すぎるとバーストを引き起こす危険がありますし、他の原因でも放置すると故障につながるリスクがありますので、「燃費が目に見えて悪くなった」と感じたらすぐ専門業者に連絡して点検をしてもらいましょう。
まとめ
今回お答えした質問以外にも、燃料や燃費に関するトラブルや疑問の声はあちらこちらで耳にします。
燃費については、節約するために毎日メーターとにらめっこしつつ、エコドライブを心がけているユーザーも多い重要な関心事ですので、本相談室においても随時取り上げていこうと考えています。
「xxxってどうなの?」というご質問・ご相談などご意見お待ちしております。一緒にSOS相談室で解決をしていきましょう!
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