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プロ直伝!車の寿命をのばす点検・メンテナンス術

プロ直伝!車の寿命をのばす点検・メンテナンス術

人間でも、頑張りすぎると体調を崩したり、ケガをしたりすることもあるように、日々何十kmの距離を高速で走行する自動車も疲れがたまることでエンジンや足回りなどが劣化していくもの。

車は人間と違って言葉を話さない分、持ち主が不具合を早期に発見し修理に出さないと、大きなトラブルを引き起こしてしまうことも。

そこで今回は、愛車を健康的かつ長く、安全な状態で保つために、日頃から行うべき点検やメンテナンスのコツ、そして注意点について「プロの整備士視点」から詳しく解説します。

 

愛車の健康チェックとメンテナンス方法「初級編」

まず、誰でも簡単にできて高い効果を見込める点検方法とメンテナンスを解説します。

車をきれいにするだけじゃない!「洗車」

天気の良い休日に、ガレージで愛車の汚れを落とすぐらいなら私もやっている、という方は多いかもしれません。ただ、ほとんどの方がカーシャンプーを使って黄砂や排気ガスのこびり付きを落とし、水を流して拭き上げたら“完了”としているようです。

実は洗車こそ、愛車の状態を隅々まで目視で確認する、絶好の機会。拭き上げの時に注意深く観察すれば、それまで気が付かなかったキズやエンジンルームからの異臭などにハッとすることもあります。また、自宅ではなくガソリンスタンドなどのセルフ洗車機を使い、噴き上げをしないままの方もいますがこれもNG。セルフ洗車機は最後の過程で強いエアを吹き付け水分を飛ばしますが、車体についた水分の6割程度しか拭えないからです。

ポイント:洗車の水はしっかり拭く

洗車用の水には、一定量のミネラル分が含まれていますが、車体の残ったままだと水のみが蒸発してミネラル分が「白い輪ような形」で残ってしまいます。これをイオンデポジットと言い、積み重なって硬度が増すとプロでも落とすのが困難になりますし、紫外線を長時間浴びると酸化して、塗装面を溶かすほどのダメージを車体に加えてしまいます。そのため、自宅でも自宅以外でも、拭き上げは念入りにしましょう。

ガソリンスタンドでは800~1,500円程度で拭き上げまで対応してくれるスタッフ洗車があり、頼んでおけば愛車点検も行い、不具合があれば交換をすすめてくれます。洗車以外の追加費用はかからずに専門の機材を用いた点検が受けられるのです。自分で洗車すればお金はかかりませんが、丁寧な拭き上げと健康診断料込みと思えばリーズナブルですので、毎回でなくとも数回に1度などのタイミングで利用するのもアリです。

視界の確保は重要!「ワイパー&ウォッシャー液のチェック」

ドライブ中、急に雨が降ってきたから作動させたワイパー。しかし、「キィー!」と嫌な音を立て雨を拭き取ってくれない…そうなると視界が十分に確保できず、運転を続けるには大変危険です。使用する頻度や気候によって変わってきますが、ワイパーゴムの寿命は約1年です。ゴム交換だけなら1,000円程度、ブレードごとの付け替えでも1,500~2,500円でできますので、「最近水捌けが悪いな」と感じたら、カー用品店などで交換しましょう。

また、フロントガラスに砂や異物が付着して視界が妨げられたときに役立つのがウォッシャー液。こちらも定期的に補充しないとすぐに空っぽになってしまいますが、いざというときに出ないと案外困るものです。車に詳しい方なら、ボンネット内にあるウォッシャー液の注入口を見つけられますが、「どこかわからない」という方は、カー用品店や行きつけのガソリンスタンでスタッフに聞いてみてください。すぐに教えてくれますよ。

ポイント:ウォッシャー液は代用しない

「ウォッシャー液は水道水で代用してもいいのでは?」という方も多いのですが、プロの立場から言えば、やめておきましょう、と言いたいところ。水道水には消毒用の塩素が含まれているため、長年使用を続けると細いウォッシャーの吹き出し口に詰まり、使用できなくなることがあるからです。さらに、ウォッシャー液には凍りにくい成分が含まれていますが、水道水は氷点下になってくると、凍結する可能性が高くなります。

朝方に凍って噴出されなかったり、走行中に使用した際フロントガラス上で真っ白に凍結したり、視界を突然遮られる危険もあるため、冬場冷え込む地方の方は水道水ではなく、必ずウォッシャー液を使用してください。

 

愛車の健康チェックとメンテナンス方法「中・上級編」

続いて、中・上級編のメンテナンスを紹介します。ただし、誰にでも行えるように、専門用語をかみ砕き、わかりやすく解説していきましょう。

愛車とドライバーの安全を守る「タイヤ」

残念ながら、まだ空飛ぶ車が公道を走ってはいませんので、どんな車も4本のタイヤで車重を支え、摩擦力によって走り、曲がり、止まっています。タイヤ点検の基本は、溝がどの程度残っているか、ヒビや傷が無いか、空気圧は適正かのチェックです。しかし、点検を一切実施せずにトラブルが発生すると、事故を起こして車が大きく損傷を受ける可能性もありますし、ドライバーの安全も守ることができません。

・残溝のチェック方法

残溝について、車関係の情報サイトでは「○mm以上あれば大丈夫、△mm以下なら交換時期」と数字をあげて解説しているものの、「偏摩耗」については触れていない事もあります。

軽自動車でも1トン近く、大きな車種ともなれば2~3トン近く重さがあるものもあり、大きさに応じて使用するタイヤのインチ数も増えます。しかし、どんな大きさのタイヤでも実際に路面と接しているのは、「はがき1枚」程度のスペースでしかありません。また、直進性能を高めるため、車を上空から見ると「ハの字」を書くようタイヤは装着されており、これをつま先が内側に入っているという意味を持つ、「トーイン」と呼びます。

このトーインによって、ブレーキ時やハンドル操作時、前輪内側にどこよりも大きな摩擦力が加わるため、他の箇所よりも溝が早く減る「偏摩耗」が発生するのです。つまり、タイヤを外側からサッと見た時、「まだ溝はたくさんあるな」と思っても、見えにくい内側は、既にツルツル状態だったりもするのです。ですので、残溝のチェックはハンドルを一杯に切り、下からのぞき込んで内側の溝が残っているかを確認して交換すべきかを判断しましょう。また、偏摩耗はタイヤの位置を変更する「ローテーション」で遅らせることができます。

・ヒビや傷のチェック方法

タイヤは普段から過酷な状況にさらされているため、泥やアスファルトのカス、ブレーキパットの粉塵で汚れることも多く、目視でそれらを発見できないこともあります。そこでおすすめしたいのが、先程触れた洗車時にタイヤもチェックするということ。ゴムでできているタイヤは、1年も使用していれば否応なくヒビや傷が出てきますし、例えヒビや小傷が確認できたとしても、多くの場合で走行安全性に大きな支障はありません。

一方、「縦方向」に入っているヒビと、何かしらの衝撃でできたタイヤ側面の大きな傷には細心の注意が必要です。タイヤへの負荷は重力によって縦方向にかかりますから、縦ヒビが入るとどんどん開いてしまうのです。側面に入った大きな傷も同様に、走行中のバーストという危険なトラブルにつながりかねませんので、すぐにプロの目で診断してもらい、溝が残っているタイヤでも「要交換」と判断された場合は、安全第一を考えて素直に交換をした方が無難です。

・空気圧点検

セルフスタンドなどに行けば、空気圧点検とともに補充もできるタンクが設置されていて、誰でも利用できるようになっています。しかし、空気を補充している方は多くいますが、抜いている方を見かける事はほとんどなく、これは「空気圧が低いと燃費が下がってしまう」という情報が、ネットなどを通じまん延していることに原因があります。

これは決して間違いではありませんが、人間でも「腹八分」と言うように、タイヤにとっても適正な空気圧があります。その範囲内に設定しないと、タイヤの寿命はもとより、車への負担が増してしまうかもしれないのです

愛車を横から見ると、適正空気圧に充填されたタイヤでも実は車の重さによって微妙にたゆんで見えます。実はこの「たゆみ」が、はがき1枚分の接地面を確保しているのです。たゆみが無くなるほど空気を入れてしまうと、道路との接地面が減少してブレーキ操作やカーブ走行時、強いグリップ力を得ることができなくなるうえ、減少した接地面への摩擦による負荷が増大し、溝の減りを早めます。

加えて、減ってしまったグリップ力をカバーしようと、ドライバーは無意識にブレーキを強く踏んだり、ハンドルを激しく切ったりするため、ブレーキ・ステアリング関連パーツのトラブルにつながり、場合によっては修理や交換が必要になることもあります。

人間に例えれば、衝撃吸収力の高いランニングシューズではなく、底の硬い革靴やパンプスを履いて、トラックを走り回るようなものですから、ひざや腰に強い負担がかかることが想像できますよね。想定以上にタイヤ空気圧調整はデリケートなので、スタンドにいる慣れたスタッフにお願いするか、運転席側ドアを開けピラーのところに記載されている、車種ごとの適正空気圧を確認し、その範囲内で調整するようにしましょう。

 

動かなければただの鉄!「バッテリー」

自動車は、エンジンがかかって初めて働きます。走行中に発電してそれをバッテリーに蓄えておかないと、再始動することすらできなくなるのです。また、弱ったバッテリーをだましだまし使い続けていると、オルタネーターなどの発電部品に負荷がかかって故障の原因に。修理コストもかかってしまいます。

バッテリーの寿命は比較的長く、概ね2~3年とされていますが、カーナビやコンポなど電装機器がたくさんついている車であればそれより短くなります。バッテリーの健康状態を正確に点検するには、テスターと呼ばれる専用の電圧計を使用しなくてはなりませんが、次の症状が出たときも、バッテリーが寿命に近づいている可能性があります。

  • 夜間の使用時、ヘッドライトが暗い気がする
  • ワイパーやパワーウインドの動きが遅い
  • 寒い朝型などにエンジンのかかりが悪い
  • バッテリー液の減りが早い

ポイント:バッテリーを長持ちさせる2つの方法

まずは、長期間運転をしない場合は定期的にエンジンを数分間かけておくように心がけましょう。2つ目は、バッテリー液の減りを確認したら、すぐに適量補充してあげること。バッテリー補充液はカー用品店に行けば数百円で販売されています。専門的な工具も必要なく誰でも補充はできますが、感電の危険を防ぐために必ずエンジンを停止してから行いましょう

バッテリー液は10円玉などを使って本体上部にある蓋を空けますが、エンジン停止からすぐに行うと、有害な気体が発生していることもあるので、15~20分経過したら実施するようにしてください。本体には液の上限ラインが引かれていますが、このラインは越えてはいけません。上限を越えると液漏れを起こし、バッテリーやその周辺パーツを腐食させる恐れがあるので注意しましょう。

バッテリーは劣化が進むと側面部分が膨張したり、電極に白い粉が付着したりするので、もし確認したらカーショップなどで交換を依頼しましょう。ご自身で交換をする場合は、適合するバッテリーかをしっかりとチェックし、ゴム手袋を準備するなど、ケガをしないよう細心の注意をはらってください。

 

車の血液みたいなもの!「エンジンオイル」

車を運転している方なら、誰しもが強く意識しているかもしれません。しかし、ここで中・上級編に入れた理由は、プロの整備士から見ると、エンジンオイルへの知識や交換に対する認識が大きくずれてしまっているからです。基本的に、ボンネットを開けるとエンジン本体の目立つ部分に、オイルチェッカーがついているので、ここで汚れとオイルの量を確認することができます。

白いウェス等で拭き取ると、焦げ茶色に汚れたオイルを確認できますが、エンジンオイルは入れた瞬間からすぐに汚れるのが当たり前で、汚れていない場合は役目を果たしていないとまで言えます。一般ユーザ―にとって、オイル汚れが劣化に伴うものなのか、エンジン内をクリーニングした成果なのかを判別することは不可能に近く、一概に汚れているから交換しなくてはならないとは言えません。

ポイント:エンジンオイルの交換時期

汚れの状態よりも「どの程度の期間・距離」使用し続けたかポイント。目安は「走行期間3ヵ月or走行距離が4,000~5,000km」です。ですので、交換した日付・走行距離を明記したステッカーを、愛車のわかりやすいところに張る、または過去にさかのぼって確認ができる、「愛車カルテ」などを準備しているお店を選んで、オイル交換を依頼しましょう。

エンジンオイルは品質によって大きく値段が異なりますが、高いオイルを使えば長持ちするかと言えばそういう訳ではなく、むしろ高級な商品の方が洗浄能力高さから、早く汚れてしまう傾向にあります。プロの意見としては、1ℓ2,000円の高性能オイルで1年に1度交換するより、1ℓ500円のリーズナブルなオイルで3ヵ月ごと交換したほうが車の寿命と健康のためには良いと思います。

ポイント:オイルエレメントが車の健康を守る

エンジンオイルを長持ちさせるため、「オイルエレメント」という汚れ除去フィルターが、オイルパンの近くに設置されています。オイルエレメントは、使い捨てカートリッジ式で、外すとオイルが抜けるためオイル交換時に一緒に交換を進められます。交換時は1,500~2,500円ほどの部品代と工賃が発生するため、断る方もたくさんいるようです。しかし、チリ・ホコリ・ハウスダストにまみれたホームエアコンのフィルターを、数年にわたり掃除せず使い続けるとしたらどうでしょうか。

車の健康と長寿を願うなら、このオイルエレメントも適時交換すべきであり、オイル交換2回につき、1回のペースが推奨されます。なお、オイル交換時エンジン内部をきれいにできるからと、「フラッシング」という追加作業をおすすめしてくるお店もありますが、これは断って構いません。フラッシングで除去できる程度の汚れであれば、エンジンオイルでも十分に取り除けますし、取れない頑固な汚れはエンジンを分解して内部洗浄する必要があります。

一方、オイル量が減ってしまっている時は早急に対応します。通常の使用でも微量ずつ減っていきますが、チェッカーに付かないほど減少している場合は、オイル漏れオイル上りなどを、引き起こしている可能性があるからです。いずれにせよ、車の寿命を左右しかねない、重大なトラブルが発生している可能性があるため、設備の整った整備工場などに持ち込み、プロの整備士に細かく点検をしてもらいましょう。

 

まとめ

車にはブレーキや駆動関連、冷却装置やエアコンなど、専門的な知識や技術がないとメンテナンスすら難しい箇所がてんこ盛りです。その中でも日頃からカンタンに、そしてチェックしやすい箇所に絞ってご紹介しました。歯が痛くなったら歯医者を受診するように、愛車の調子が悪い時はやはりプロの整備士に点検してもらうのが一番です。

今回解説した項目以外にも、運転中に何かしらの違和感を覚えたときは、行きつけの業者で「健康診断」を受け、必要に応じて治療を受ければ、人間同様、愛車も長生きしてくれますよ。

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