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カラーだけでも影響があるって本当?高齢者が運転するクルマの選び方

カラーだけでも影響があるって本当?高齢者が運転するクルマの選び方

一言で自動車といっても、車種・グレード・装備はもちろん、ボディーサイズやカラーリングなど、組み合わせ次第で多種多彩の選択肢があります。高齢者自身やご高齢がいらっしゃる方の中には、あまりに多すぎる車種のチョイスに「どんな車を選べば安全運転につながるのだろう」と、悩んでしまうケースも少なくはないでしょう。

そこで今回は、高齢者が運転する車に重点を置き、走行性能や燃費性能重視ではなく、あくまで「安全運転をサポートすること」を目的とした車の選び方についてプロの整備士がわかりやすく解説します。

 

軽自動車 or 普通車 — どっちがいいの?

まずは、車種ごとの持ち味から高齢者向け車種の選択方法から解説します。その後、ボディーサイズやジャンル、カラーリングなどによって、安全性が高まる車の選び方についても、それぞれ触れていきましょう。

自動車は法律上、軽自動車と普通車に区分されます。軽自動車は日本特有の車種であり、実のところ外国車には該当する車種が存在しません。

コストパフォーマンスの良さと市街地での小回りの良さが軽自動車の持ち味ですが、デメリットとしてエアコン使用時やフル乗員の走行ではパワー不足による不便が生じることが指摘されていました。しかし、近年の軽自動車はエンジン技術の向上により、よほどの高速走行や長距離ドライブでもない限り、普段使いで不便を感じることはほぼありません。

また、車内空間の広さやボディ剛性の高さから、軽自動車より普通車の方が、安全性で上だという評価もありましたが、ホンダセンシングやスマアシⅢなどといった、先進安全技術も次々と軽自動車に採用され、今では安全面でも引けを取らないほどになっています。ですので、高齢者が走行性能や安全性能で選ぶという意味では、軽自動車でも普通自動車でもどちらでも問題はないと言えるでしょう。

ただし、年金だけで生計を立てている場合は、長い目で見ると維持費が安くすむ軽自動車を選択する方が断然有利になります。

 

大は小を兼ねる?ボディーサイズはどう選ぶ?

車種が違っても、軽自動車はそれほどボディーサイズに差は出てきませんが、普通車の場合、ヴィッツやマーチなどの小型普通車から、クラウンやアテンザなどの中型セダン、さらにワンボックス車や大型RVまで、ボディーサイズは大小様々。

大きな車種の方が、他車や歩行者から「発見されやすい」という安全上のメリットは出てきますが、車体が大きくなるとその分クルマは重くなるため、万が一衝突事故を起こした時の相手方のダメージも比例して大きくなります。

高齢ドライバーは大きな車種に乗らない方が良いとまでは言いませんが、大型車種は時に軽自動車や小型普通車の数倍、重大な被害を生んでしまう「凶器」になる可能性をはらんでいます。もしものことも想定して考えると、運転しやすく小回りも利きやすい小型普通車や、軽自動車を選択したほうが無難かもしれません。

 

HV車やEV車はアリ?スポーツカーは正直避けるべき?

コンパクトカーのボディーサイズを持つ車種には、アクアやプリウスなどのHV(ハイブリット)車や、リーフに代表されるEV(電気自動車)車など、燃費が良く一般的に人気の車種が多くあります。

HVやEV車種は非常に静粛性が高く、ほとんど音もない状態で発進と走行できますが、その反面で、歩行者が車両の接近に気が付きにくいという大きなリスクがあるのです。読者の中にも、車の気配に気づかず、不意に現れたこれらの車にびっくりしたという経験をお持ちの方もいるでしょう。

国土交通省も2010年にハイブリッド車などの静音性に関する対策検討委員会を立ち上げて、報告書を掲載しています。その上で、エンジン音をドライバーと歩行者の「コミュニケーション手段の一つ」と捉え、車両接近警報装置装着のためのガイドラインを策定しました。新型車は2018年3月から、すでに販売されている型の車両は2020年10月から接近音装置が義務化となっています。

燃費の節約ができたり購入時の優遇税制が魅力的に見えたりするなどして、高齢ドライバーの中にも購入を検討している方や現在すでに乗車されている方も少なくありませんが、実際に思わぬ接触事故も発生していますので、念のためここでも注意喚起をしておきます。

また、これまでは家族や通勤のことを考え、自分の趣味・趣向とは異なる車に乗っていたという方の場合、子育てや仕事が手を離れたのを機に、スポーツカーで颯爽と風を切ってドライブしてみたい、と考えるケースもあるようです。

しかしながら、スポーツ車種はその高い加速性能ゆえ、通常車種より高度なドライビング技術が必要になるため、加齢に伴って反応速度などが低下している高齢者においては、周囲を危険に巻き込んでしまう可能性が高まることを否定できません。

加えて、高性能なスポーツ車種になればなるほど、ハンドルやクラッチなどが固く、確実な操作には強い力が必要になるため、筋力がどうしても低下してしまう高齢ドライバーの場合、手足を取られてしまい思わぬ操作ミスを起こすこともあります。

運転者がご高齢に達し、判断速度や筋力の低下を自覚している、もしくは、家族がその運転について心配をしている場合は、スポーツカーの購入は控えたほうが良いかもしれません。

案外重要!カラーリングと安全との関連性

ここまで、車種のタイプ別に高齢者の車選び方を解説してきましたが、同じ車種でもカラーリングが異なることで事故発生率が変わるということを皆さんはご存知でしょうか。少々古いデータではありますが、1999年に発表されたオークランド大学の研究によると、流通台数が最も多い「ホワイト系」の事故率を「1」としたときの他カラー別事故率は、以下のようになっていたそうです。

【ワースト3】

  • ブラウン系「2.1」
  • ブラック系「2.0」
  • グリーン系「1.8」

【ベスト3】

  • レッド系「0.7」
  • グレー系「0.6」
  • シルバー系「0.4」

このデータは海外での調査結果であるため、日本国内の交通事情を考えると結果もいくらか変化するかもしれません。しかし、街頭やライトを反射するシルバー系より、夕暮れ時や夜間に周囲の暗闇と同調しやすいブラウンやブラック系の事故率が高くなることは、容易に想像できるのではないでしょうか。

また、同調査では、赤や黄色などの暖色系の方が、緑や青などの寒色系より事故率が低いという結果も出ていましたが、これは色の波長による目の錯覚も影響しています。暖色系は膨張色とも言われていますが、収縮性を持つ寒色系のクルマと比べると他の車や歩行者などが勢いよく迫ってくるように「錯覚」して回避行動を早く行うため、事故を回避できる可能性が高まるのです。

つまり、特に色へのこだわりがなければ落ち着いたシルバー・グレー系を、個性を出したいならレッド・イエロー・オレンジといった、暖色系のカラーリングをチョイスすることによって、同じ車種でも若干ながら、事故率を下げる効果を期待できるという訳です。

ちなみに、あまり洗車をしなくても、汚れが目立ちにくいカラーリングの筆頭格も、実はシルバー系です。水垢が付きやすいホワイト系や、汚れが目立ってしまうブラック系より、お手入れが楽チンな点も、体力的に洗車をマメにするのが大変な「高齢者向け」と言えるかもしれません。

高齢者の安全を守る車種とは

今回解説したポイントをまとめると、「シルバー系の軽自動車または小型車」が、最も高齢者向けと言えるでしょう。街を走っているの高齢ドライバーを見ていると、その通りのチョイスをしている方を多く見かけます。

もちろん、車種を選ぶのは個人の自由ですし、誰にも強制することはできないものです。あとは、購入者自身が家族ともよく相談し、自身の年齢や健康状態も加味しつつ、今回の記事でご紹介した内容も参考にしていただきながら、最適なクルマ選んでいただければ幸いです。

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