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【事故例から考えよう】高齢者が安全運転をするためにできること

【事故例から考えよう】高齢者が安全運転をするためにできること

交通事故の発生件数は10年以上連続して減少し続けているものの、高齢者が引き起こす交通事故は増加傾向にあります。

特に「国道を逆走」「後ろを確認せずに、バックをした時に人と接触する」など、原因を早急に追求して予防していくべきケースも見られます。高齢者に多いこれらの事故は何故発生し、どのようにすれば防ぐことができるのでしょうか。

この記事では高齢ドライバーによる事故例とともに、高齢者の安全運転について考えていきましょう。

高齢者の交通事故発生状況

2018年7月末、警視庁が2010年から2017年まで各年度の交通事故統計を発表しました。全国の65歳以上の高齢者交通事故死者は累計1,048人となり、総数(1,883人)の55.7%を占めています。交通事故発生件数は減少しているものの、事故全体に占める高齢運転者の事故割合は緩やかに上昇していることから、高齢者が事故を起こす確率が増えていることが分かります。

高齢運転者(第1当事者)の交通事故発生状況

 

高齢運転者の交通事故発生理由は、出会いがしらなどで左右の確認を怠ったり、駐車場から道路に出るときに通行する車を見落としたりする「安全不確認」が約4割を占めています。事故の原因は、自分が曲がることに集中して他に車が来ることを気にせず走ってしまうこと、また、視野狭窄によって視界が狭まる視界不良などが考えられます。それを裏付けるように、「人的要因別にみた高齢運転者交通事故発生状況」では、次のような結果が報告されています。

違反別にみた高齢運転者交通事故発生状況

事故の理由

 

わき見や考え事をしていたことなどによる「発見の遅れ」が83.5%も占めていることに驚かされますね。この調査結果によって、多くの高齢者が運転に注力できていないままハンドルを握っている実態が浮き彫りになったのです。

 

高齢者の事故は何が原因?

ブレーキとアクセルを踏み間違えて、建物や登校中の児童に突っ込む、道路を逆走するなど、高齢者のトラブルは年々増加しています。危険な運転にもかかわらず、免許返納に応じないなど、すでに社会問題にも発展しています。なぜ事故は起こるのか。一番の原因は心身の老化にあるのです。

高齢者に多い事故例:身体能力の低下で起こる事故

 危険を回避するためには、目で危険を「認知」し、ブレーキをかけるべきと「判断」、そして停止するための「操作」を素早く行わなくてはなりません。運転に必要な情報は80%が目を通して入ってきます。年齢とともに視力が衰え、脳の情報伝達機能も低下していくと、気づきや動作が全て少しずつ遅れてしまうため、自動車を運転中、突然の危険を回避することが難しくなってしまうのです。

判断から操作までの時間は「反応時間」と呼ばれ、最低でも1秒かかるといわれています。「危ない」と判断してからブレーキを踏む1秒間で、クルマが進む距離は40㎞/hなら約11m、60㎞/hで約17m、100㎞/hなら28㎞も進んでしまいます。もちろん、これは1秒間での話。反射能力に劣る高齢者は反応時間が長いため、若い人ならヒヤリとするだけで済むことも気づいた時には大事故になってしまうのです。

高齢者に多い事故例:注意力の低下によるペダル踏み間違え事故

 近年、ブレーキとアクセルを踏み間違えて人や建物に突っ込んでしまったり、立体駐車場から落下したりする事故が起きています。事故比率全体でみると運転経験が浅い18~29歳が多いものの、70歳以上と60~69歳を合わせると若年層を上回ります。

事故時の様子として、「電柱に気づかなかった」、「後ろに人がいるのを確認していなかった」などの声が上がっていますが、事故の原因にはこのような「散漫になっている注意力」があげられます。大半の人々は、加齢とともに注意力が散漫になると言われています。注意力が散漫になると、1つのことには集中できるのに、周りのことに意識が払えなくなるのです。

特に、発車時や停車時は運転中と比べて油断が生じやすくなります。その上、ブレーキとアクセルという、それぞれ異なる働きをするペダルが並列に設置されているため、「ブレーキと思って踏んだペダルが、アクセルだった」と言う事態を引き起こしやすいのです。特に注意力が散漫な高齢者は操作を間違えやすいもの。「ブレーキを踏んだのにクルマが暴走した」などという声を聞くと、思い込みの強さも事故の発生に拍車をかけていると考えられます。

高齢者に多い事故例:認知症の高齢者が道路を逆走する事故

 車の多い大通りや高速道路を逆走したというニュースもよく耳にしますよね。そのほとんどが高速道路のインターチェンジを間違えたためとされていますが、時々一般道すら反対方向に走るなど、理解を超えた行動も。長年日本で運転しているにも関わらず、左側にセンターラインがあることに違和感がない場合、高い確率でドライバーが認知症であることが疑われるようです。

認知症は脳の萎縮による記憶障害です。これまで出来ていたことができなくなる、正確な判断ができなくなるなど、感情をしっかりコントロールできないことがあります。厚生労働省の調査によると、2015年現在で認知症の数は高齢者全体の10.2%と発表していますが、これは介護認定調査を受けた人の数です。ですので、本人に自覚がない、家族が気付かずにいると行った認知症予備軍は、これ以上の数にのぼるでしょう。

例えば、運転中や運転前後でどう感じたかをヒアリングし、高齢ドライバーの状況や感じ方、見え方を理解することで、異変に気づくことができるかもしれません。両親が高齢でまだまだ現役で運転しているなら、こまめに声をかけてあげてみてはいかがでしょうか。

 

安全運転を継続するためにできること

日常生活の中では気づきにくい初期の認知機能の衰え。老いとともに認知機能も低下もしていきますが、なかなか自覚するのは難しいこと。そこでセルフチェックとして活用したいのが、軽度認知障害の人が運転時に表われやすい事象をまとめた「運転時認知障害早期発見チェックリスト30」です。30問のうち5問以上にチェックが入った方は要注意です。認知機能の病的障害を念頭に専門機関で診てもらうなどの目安として活用し、安全運転に心がけましょう。毎年1〜2度、チェックすることで、変化にも気づきやすくなるはず。

また、クルマでお出かけするときは事前に走行ルートをイメージしておき、区画線や建物などを目印として車間距離と走行車線を適切に保てるように意識すると空間に余裕を持った運転ができるようになります。運転中は首や腕、手、足など、体全身を使います。体全体や関節が動かなくなると、アクセルとブレーキの動作が遅くなってしまいますので、運転前には軽くストレッチするなど、簡単な運動を行うといいでしょう。ペダルは足首の上げ下げ、踏み込みによってきくもの。ですので、足首を回したり上下に動かしたりしてストレッチしておくといいですね。

 

高齢者の安全を守るために最新技術を活用する

高齢者が当事者の事故が増えていることから、近年では免許返納が求められていますが、公共交通機関が整っていなかったり、買い物に不便な地域ではクルマをライフラインとして手放すことができなかったりするのが現状です。こうした状況も踏まえ、近年、車関連のサービスが進化しています。

自動車メーカーが開発する先進の安全技術

高齢ドライバーの交通事故防止対策の一環として政府が普及に取り組んでいるのが、自動ブレーキや加速抑制装置などの機能が搭載された「セーフティ・サポートカー(サポカー)」と「セーフティ・サポートカーS(サポカーS)」です。

各自動車メーカーでも安全機能対策に力を入れており、各社が独自の先進安全技術を開発して新車に取り入れているので、ホームページを見ればサポカーがどれだけ増えているかがしっかりわかるでしょう。安全先進技術には、次のような機能があります。

・被害軽減ブレーキ
カメラやレーダーなどで前の自動車や歩行者等を察知し、追突や衝突するおそれがある場合には音でドライバーに警告。ブレーキが操作されず追突や激突が避けられないと機械が判断した場合は、自動的にブレーキが作動するシステム。

・横滑り防止装置
カーブを曲がるときにクルマの走行ラインがふくらんで対向車側に飛び出すのを防ぎ、安定した走行を確保する装置です。

・レーンキーピングアシスト
わき見運転や居眠り運転などで車線を逸脱しそうになった時に、ブザーとディスプレイ表示によりドライバーに注意を促します。

・車間距離制御機能
前走車との距離をセンサーが測定し、スピードを調整することにより適切な車間距離を維持する装置です。

・バックモニター・アラウンドビューモニター・サイドブラインドモニター
「バックモニター」は、クルマの後部に設置された映像が車内のモニターに映し出されることで人や物がないか確認できるとともに、適切な位置に停車できるよう音声と映像でナビゲートしてくれる装置。そのほか、クルマの周囲にカメラを配置して、周囲の状況を真上から見た形で表示する「アラウンドビューモニター」や、見通しの悪い交差点で左右方向の視界を確保する「サイドブラインドモニター」なども普及し始めています。

次世代の機能を搭載した「コネクテッドカー」

コネクテッドカーとは、インターネット通信技術を搭載したクルマの総称です。カーナビやETCのように受信のみでなく、センサーを経由して車両やドライバーの位置情報や走行状況、道路状況など、一台のクルマに関連した細かな情報をリアルタイムで収集する、次世代のテクノロジーを活用します。EUでは、交通事故時などの緊急通報システム(e-call)が義務化されましたが、こうしたトピックも技術開発のきっかけに繋がっています。

日本国内ではトヨタが6月26日にコネクテッドシステムを搭載した新型クラウンを発売開始したことが話題になりました。新型クラウンの安全装備には夜間時に歩行者や自転車を検知できる、最新型のトヨタ セーフティセンスを搭載。

また、車載通信機DCMを標準搭載しているので、車の異常を検知したときにアドバイスを受けられる「eケアサービス」や、トークスイッチを押すだけで24時間365日、専任オペレーターにサービスを依頼できる「オペレーターサービス」を利用すれば、出先での困りごとがあっても安心です。

 

株式会社スマートドライブでは、コネクテッドカーを定額で利用できるサービス「SmartDriveCars」、そして高齢ドライバーの運転を見守るサービス「SmartDriveFamilies」を提供しています。最新のIoTデバイスで運転のデータや位置情報が取得し、スマートフォンとの連携で運転診断や走行履歴をチェックすることができますので、危険な挙動が多い場合は適切なアドバイスや注意を促すことも可能です。いつでもどこでもスマホから家族の安全を見守ってあげてくださいね。

サポカーについては、全国のディーラーや商業施設等で自動ブレーキ等先進安全技術の体験試乗会などが開催されています。本当に安全なのか、どんな作用があるのか、実際のサポカーに試乗して体感してみると意識も変わるかもしれません。主に、土日・祝日に開催されることが多いので、親を誘ってご家族で参加してみてはいかがでしょうか。

 

高齢者自身が「老い」を自覚することも大事

「老年の悲劇は老いているところにはなく、まだ若いと思うところにある。」これは19世紀にイギリスで活躍した劇作家・小説家のオスカー・ワイルドが残した言葉です。老化は少しずつ進行するため自分が年をとってしまったことに気づきにくく、「まだ大丈夫」と思いがち。そうした意識から、自損事故や他人を巻き込んだ事故を起こしてしまうことにつながる場合もあるでしょう。高齢者が安全に運転するための一番身近な対策は、「自分の老いを自覚すること」なのかもしれません。

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