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高齢者による交通事故多発は日本だけ? 気になる海外の高齢ドライバー事情

高齢者による交通事故多発は日本だけ? 気になる海外の高齢ドライバー事情
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近年はよくメディアでも取り上げられるようになった高齢者の運転事故。日本がどんどん高齢化しているという問題に加え、地方にいは車がないと日常生活がままらないという地域も多いというモビリティ問題も重なり、簡単には解決できない課題となっています。

こういった問題は、諸外国でも同じように発生しているのでしょうか。
たとえばアメリカは国土も広大で、一部の都市エリアを除けば車による移動がメインです。また、東南アジやインドのように、最近になって一気に車の普及が進んでいるような国々においては、先進国とはちょっと違った状況もあるかもしれません。

今回は、各国の高齢ドライバー事情について見ていきましょう。

 

日本とはちょっと違う?海外の高齢ドライバー向け制度

日本では、高齢ドライバーによる事故を防ぐべく、高齢者に免許返納を促す政策や運転講習などがあります。海外の高齢ドライバーに関する制度には、どんなものがあるのでしょうか?各国の政策や高齢ドライバー事情など、詳しく紹介します。

アメリカ

米国保険業界が設立した非営利団体『The Insurance Institute for Highway Safety(米国道路安全保険協会)』の調査によると、30~59歳よりも70歳以上の高齢ドライバーが事故を起こす確率は高くなっているものの、衝突相手や歩行者など負傷者を出す確率は30~59歳よりも低いという結果が出ています。

日本には、自動車事故の年代別調査はありますが、アメリカのように道路状況や歩行者の様子まで細かく調査したものはないので、こうした調査結果からアメリカの交通事故への意識の高さがうかがえます。この調査によると、一概に高齢者の運転だけが危険だとは言えないようです。

また、アメリカ自動車協会が運営しているウェブサイト『SeniorDriving.AAA.com』では、「体調管理とドライビングスキルを保って末永く安全運転を続けてもらうための情報の提供」をコンセプトに、高齢ドライバーへの安全運転啓蒙活動を行っています。『SeniorDriving.AAA.com』上では次のような記事やイベントが実施掲載されています。

・ドライビングに必要な力を維持するためのエクササイズ紹介
・自動車とドライバーとの適合度チェック
・運転力向上のためのレッスン

『SeniorDriving.AAA.com』の特徴は、加齢による衰えを肯定的に捉えている点です。年をとれば、運転技術が衰えるのはあたりまえ。しかし、そこで運転することを諦めるのではなく、どのようにして安全運転をするかを考え、改善策を伝えているのです。

NHTSA’sNational Center for Statistics and Analysis 2004に掲載されている高齢ドライバーの死亡事故の統計データによると、アメリカでは70~80歳のドライバーの飲酒運転率は極端に低いようです。SeniorDriving.AAA.comなどの活動が、運転に対する真摯な姿勢をはぐくんでいるのかもしれません。

イギリス

イギリスでは、運転免許はまずは70歳まで有効です。病気や怪我などの理由で運転できなくなってしまった場合は、70歳を待たずに自己申告で返納することができます。なお、70歳の時点で健康かつ安全に車を運転できると申告した場合は、3年間有効の免許証を無料で発行されます。その後は3年ごとに自己申告をして免許証を受け取ることになります。

運転免許の保持に影響する病気は、がんや摂食障害、感染病など多岐にわたります。高齢者が安全に運転できるよう十分配慮がされているイギリスでは、近年女性の自動車利用が増加しています。

また、運輸省が運営している『OLDER DRIVERS』では、「高齢者のドライバーは経験も豊富で自信と思いやりもある」をコンセプトに、シニアドライバーがより長く快適に運転できるようになるためのフォーラムやイベントを主宰し、身体的な検査、技能評価、運転の講習などを実施し、情報の拡散などに努めています。

ドイツ

ドイツでは、シニアドライバーの安全運転を広めるため、画期的な取り組みを行っています。
Allgemeiner Deutscher Automobil Club e.V.(全ドイツ自動車クラブ)、略してADACというロードサービス組織がありますが、「生涯安全運転を」という目標を掲げ、シニアドライバーの支援を積極的に行っています。そんなADACの具体的な活動は、以下のようなものです。

・高齢者用安全運転パンフレットの作成
・シニアドライバーに適したクルマの比較テスト
・シニアドライバーのための運転適性テスト
・運転指導
・相談窓口の開設

もちろん、ドイツでも高齢ドライバーに対する否定的な意見は多くありますが、ADACのおかげで高齢になっても安全にドライブを楽しんでいるドライバーも増えたようです。

中国

ほとんどの国では、運転免許の年齢制限はありませんが、中国では年齢制限が設けられています。
60歳を超えると毎年身体検査を受けなくてはならず、厳しい条件をクリアしなければ免許を保持できないのだとか。70歳になると運転免許が取り消されます。

韓国

高齢化が進んでいる韓国では、65歳以上のドライバーによる事故が毎月2,000件を超え、日本と同じように社会問題へと発展しています。韓国道路交通公団の資料によると、過去10年間で高齢者による事故が2.6倍に急増しているのだとか。そんな中、韓国では免許を自主返納した高齢者を優遇する仕組みが広がっています。

釜山では、免許を自主返納した高齢者に「高齢者交通カード」を交付しており、このカードを持っていると、バスなど公共交通機関の乗車、医療機関やホテルなどの利用で優待が受けられます。韓国でも高齢ドライバーの危険運転に頭を悩ませており、免許の更新期間を5年から3年に短縮する案も出ているようです。

 

日本人は高齢者の運転に否定的?

日本人では高齢になると自分から免許を返納する人も増えてきましたが、海外はどうでしょうか。

「証拠のある話 常に検証可能なデータを求める文化に向かって」というサイトによると、日本の加齢に伴う運転免許の放棄率はアメリカ・イギリスと比べてもかなり多く、特異な結果として紹介されていました。

70~74歳までの男性の放棄率は日本人が5%、イギリス人は3%、アメリカ人は0%。85~90歳までの放棄率は日本人が30%、イギリス人は20%、アメリカ人は15%です。日本は他国と比べても、加齢に伴う免許の放棄率が高くなっていますが、これは日本人の遠慮深い性格が表れているとも言えるでしょう。逆に、アメリカは車社会と言うだけあって、高齢者でも車が必要になる機会が多いため、放棄率する人はほとんどいません。

しかし女性の場合、男性とは調査結果が大きく異なります。70~74歳の放棄率は日本人で2%、イギリス人が5%、アメリカ人が4%。また、75歳~79歳の結果をのぞき、すべての年代で、日本人女性の放棄率が圧倒的に少ない結果になっていました。この年齢層で自動車を運転する日本人女性が少ないことが結果に反映されているのかもしれません。

 

社会として包含していくために

国民生活センターのWeb誌『国民生活』2016年11月号に掲載された「超高齢化社会と自動車交通」という記事によると、「自分の運転テクニックなら十分に危険が回避できるか」という質問に「回避できる」と答えたのは、30代は10%、50代は18%、75歳以上では53%でした。加齢によって運転能力は衰えていくのに、運転スキルへの自信は減ることがない。それが日本の高齢者による事故の多さに繋がっているのかもしれません。

この記事を寄稿した所教授によると、欧州の先進国では、日本と比べて免許の自主返納を促す仕組みが整っているようです。そのため、社会全体が高齢ドライバーに対して客観的な目を向け、厳しい身体検査などを課しているため、自分から免許を返納する高齢者が多いと言います。

今後日本でもこういった免許返納を促すような施策や制度が出てくると思いますが、それと並行して返納後の生活を担保するような受け皿の提供も重要になってくると思います。訪問サービスや公共移動インフラの拡充などが鍵になりそうです。

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