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買い物難民を救え!シニア向けの買い物代行サービスは「地元密着型」

「少子高齢化によって地元から若者が消えている」「全体的な人口減によってシャッター商店街が増えている」「大型スーパーができたため近所の小売店が閉店してしまった」…このような理由から、度々「買い物難民」という言葉がニュースやワイドショーで登場するようになりました。

過疎化によって近所の商店街やスーパーが閉店したり、地域の公共交通機関が廃止されたりすることによって、日々、必要とする食品や生活用品などの購入が困難になった人たちが「買い物難民」と呼ばれているわけですが、中でも高齢を理由に運転免許を返納した高齢者や単身で暮らす高齢者は、そもそもスマホやパソコンに慣れていない・持っていないという人も多くネットスーパーの利用が難しいため、特に買い物難民になりやすいといわれています。

この買い物難民を救う手段の一つとして期待されているのが、買い物代行サービスです。現在は具体的にどのようなサービスが提供されているのでしょうか?

 

2025年に向けて増える買い物難民

少し前になりますが、市場調査やコンサルティングを行っているシード・プランニングがリリースした「買い物代行サービスを含む介護予防・生活支援サービスの市場規模の動向(2014~2025年)」の発表によれば、買い物代行サービスを含む介護予防・生活支援サービスの市場規模は、2025年になるまで1兆3千億円に迫る勢いで拡大する予想で、1兆円産業に成長する見通しとのことでした。

一方、買い物難民は2016年10月時点で約700万人にのぼるといわれ、2010年からなんと100万人も増加しているという調査結果も。2025年には団塊の世代(※)全てが75歳を迎えることから一気に増えることが予想され、約806万人にのぼるといわれています。75歳を越えると、家族に勧められたり、体力や視力の低下により運転に自信がなくなったりして、運転免許を返納する人が増えていきます。

地方在住で車での移動が難しい場合、先述したように近所にスーパーやコンビニがないとの理由で買い物難民になってしまうことも…。一般には、最寄りの食料品店まで500メートル以上離れ、車の運転免許を持たない人が買い物難民と言われていますが、地域住民間の相互扶助の程度によっても影響するため、都市圏であっても買い物難民ゼロとは言い難いのが現状です。たとえスーパーが近くにあっても、単身者が増えている昨今、荷物が重くて買いたいものをすべて買えない、そのため何度も家とスーパーを往復しなくてはならない、そんな声をあげる高齢者も少なくはないのです。

※第二次世界大戦直後の1947年〜1949年に生まれた戦後世代のこと。

買い物代行サービスにはどんなものがあるの?

多くの買い物代行サービスは、利用者からオーダーを受けた商品を購入して、利用者に届けるシステムです。ただ、全国の各地域では既存のインフラを利用したり、利用者の安否確認や御用聞きといったサービスを取り入れたりするなど、サービスに付加価値をつけて提供しているようです。

らくらくお買い物システム(熊本市:健軍商店街)

市電の起点停留所の周辺に位置する健軍商店街は、熊本市の東部にあるベッドタウンとともに成長をしてきました。しかし、商圏に住んでいる人々の高齢化や大型店との競合が激しくなったことから、健軍商店街振興組合はタウンモビリティ事業をスタートさせます。

1日2回、健軍商店街から半径2km程度に住んでいるお客さんが購入した品をタクシーを使って配送するサービスで、利用料金は300円(1回)、そのうち100円は商店街が補助するシステムになっています。未稼働タクシーが有効活用できるというメリットもあり、好循環を構築しました。

高齢者向け宅配事業(三重県:スーパーサンシ)

三重県の北部を商圏として展開するスーパーサンシ。商圏に住んでいる人々の高齢化に対応して、8店舗で宅配事業を行っています。正午にインターネットまたは電話で商品を注文すると、当日の17時までに自宅に届けてくれるというサービス内容。一般的なスーパーは、物流を他の業者に任せてしまうことが多いですが、スーパーサンシは物流を自社で行うことで、ニーズを収集したり、店舗のイメージ戦略に役立てたりしています。サービスは基本的に会員制で、使い放題月額たった516円(税込)。

過去に購入した商品データに基づいてカスタマイスしたカタログを配布したり、鍵が付いた宅配ロッカーを提供したりして、会員一人ひとりに向き合った手厚いサービスを提供しています。果物など生鮮食品の完熟度の好みを利用者ごとにデータで管理するなど、きめ細かな対応も人気の秘密かもしれません。

セブンミール(株式会社セブン・ミールサービス)

日本全国に20,392店舗を構える大手コンビニチェーン、セブンイレブン(2018年6月)。首都圏に偏ることなく47都道府県に展開している強みや大手ならではの物流網を活かした買い物代行サービスを提供しています。

セブンミールは近所にある「セブン-イレブン」をキーステーションに、食事を宅配するサービス。美味しくて安心できる食事を届けるべく、宅配用に栄養バランスの取れた商品を独自で開発しています。御用聞きサービスを提供している店舗もあり、週に1度、高齢者宅を訪問しています。

 

買い物代行サービスを成功に導くのは地域密着型?

最近では買い物難民の救済を目的に、地域の住民同士で買い物の手助けをする地域シェアリングエコノミーが広がりつつあります。

シェアリングエコノミー「Twidy(ツイディ)」は、ご近所さんに自分の買い物を依頼できるという、地域密着型買い物代行サービス。スーパーマーケットをはじめ、地域に根ざした小売事業者や地域の新聞販売店やデリバリー事業者、そして地域に住む方達と連携するからこそ実現するサービスです。

お買い物をリクエストできる「リクエスタ」、または毎日のお買い物ついでにリクエスタの分の買い物をしてお届けする「お届けクルー」、二つの利用手段があります。まだ実験段階であること、スマホのアプリが必須となってくることから、シニアがメインではなく、忙しいビジネスパーソンや小さなお子様のいる主婦など、もう少し若い年代層向けのサービスとして普及されて行くかもしれません。

 

 

2012年から始まった38都道府県で200台強が稼働中のトラックの移動スーパー「とくし丸」は、日常的な買い物が困難な買い物難民を支援するサービス。「販売パートナー」と呼ばれる個人事業主が提携している地元スーパーから仕入れた商品を載せ、定期的に顧客を回って販売するというスタイルをとっています。とくし丸は販売ルートを決める時に地域の高齢者のニーズを聞き、そこにフィットした巡回ルートを組むという地域密着型。買い物客のニーズを知るためにも声をかけてあげたり、異変があったら気づいてあげたり、見守り隊としての役割も担っているため、地域にはもはや欠かせない存在になっています。

「とく、とく、とーく、とーくしー丸~♪」という軽快な音楽が聞こえたら、とくし丸が来た合図。顔なじみの販売者が野菜やお肉を売りにくる。対面販売なので、近所のお友達とちょっとしたおしゃべりの場にもなっている。ただ買い物をするだけではなないちょっと楽しみも支持される理由なのではないでしょうか。

 

まとめ

高齢者世帯の7軒に1軒がネットショッピングを利用しており、利用割合は10年で2.9倍に拡大しています。とはいえ、まだまだ普及されているとは言い難く、かつニーズが高い層(より高齢な層)ほどテクノロジーに疎い傾向もありそうなので、そういった人たちをどうサポートしていくかというのは大きな課題です。

この問題は、単純にテクロノジーの進化が勝手に解決してくれるということでもないため、民間企業やNPO団体、地域住民等の様々な関係者が一体となって協力し、地域の課題として一緒に取り組んでいくことが解決の鍵になりそうです。そして、そこから地域に根付いた独自のサービスやエコシステムが生まれ、地域活性の役割を担うようになったりしてくると、高齢化社会における地域社会の新たなあり方のようなものが見えてくるのかもしれません。

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