車を購入する際に、特に購入が初めてという人にはぜひ忘れずに加入して欲しいのが「自動車保険(任意保険)」です。自動車保険は、自賠責保険ではカバーしきれない保障やロードサービスなども付帯しており、強制保険ではないものの、2017年3月末時点で加入率は約7割です。
今回は、初めて保険を申し込むという方向けに、自動車保険の選び方の基礎を紹介します。
たくさんある自動車保険、どれを選ぶのがベスト?
自賠責保険は人身事故を起こしてしまった場合のみに、相手方への補償として支払われるものです。被害者1人に対する保障額は、死亡の場合で最大3,000万円、傷害は最大120万円、後遺障害が残ると最大で4,000万円までの補償になっています。しかし、相手の車やモノに対しては支払われることがありません。
そのため、事故の際の相手方への交渉、自分のケガ、クルマの故障があっても補償はされないのです。あくまで強制ではないものの、万が一のことを考えたら絶対的に入っておくべきだといえるでしょう。
知っておくべき、自動車保険の補償内容
自動車保険の補償内容は大きく分けると以下の3つの種類があります。これらの補償にプラスして、備えたい対象や目的に応じた補償を組み合わせます。
①相手への補償
自賠責保険の補償はありますが、人身事故の損賠賠償は補償上限(死亡の場合3,000万円)より高額になることが多いです。そのため、この超過したぶんを補償することに加え、車やモノを破損させた場合の補償となります。
②自分と搭乗者の補償
ご自身や同乗していたが家族がケガをした場合の補償です。
③自分の車への補償
ご自身の車が交通事故だけでなく、イタズラで車体をキズつけられたり、盗難に遭ったり、災害に合ったりした場合も補償の対象になります。
さて、星の数ほど存在する自動車保険ですが、初心者さんであれば何を基準にどれを選んだらいいのかわからなくなりますよね。まずはじめに知っておきたいのは、自動車保険には2タイプあるということです。
代理店型
保険会社の保険商品を、代理店等が販売するタイプです。対面式のやり取りを基本とし、書類作成や、事故などのサポートも代理店のスタッフが行います。
<メリット>
・対面サービスなので人がサポートしている安心感が得られる。
・自動車保険だけでなく、その他の損害保険や生命保険も扱っていることが多く、総合的な保険の窓口としても利用できる。
<デメリット>
・中間のコストがかかるため、通販型と比較すると保険料が高めに設定されている。
おもな保険会社:
損保ジャパン日本興亜、三井住友海上火災保険株式会社、東京海上日動火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、富士火災海上保険株式会社など
通販型
インターネットや電話で保険商品を販売するため、24時間どこからでも加入することができます。ただし、即日から保険が有効になるわけではありませんので注意してください。
<メリット>
・人件費などのコストが抑えられるため、保険料は代理店型よりも安く設定されている。
・インターネットから複数の見積もりを取ることができるので、サービスを比較しやすい。
<デメリット>
・書類の作成や手続きを自分で行わなくてはならない。
・電話でのサポートによる事故対応など、対人によるサポートが少ない。
おもな保険会社:
ソニー損害保険株式会社、アメリカンホーム保険会社、チューリッヒ保険会社、アクサ損害保険株式会社、三井ダイレクト損害保険株式会社など
次のような条件で、大手保険会社の年間保険料を比較してみましょう。
車種 | トヨタ プリウス |
度登録年月 | 平成 27年7月 |
主な運転者の年齢 | 50歳 |
免許証の色 | ゴールド |
家族限定特約 | なし |
ファミリーバイク特約 | なし |
主な使用地 | 東京都 |
主たる使用目的 | 日常・レジャー(主に家庭用) |
等級 | 7F等級 |
対人賠償 | 無制限 |
対物賠償 | 無制限 |
人身傷害補償 | 3,000万円 |
年間保険料(一時払い保険料)
一時払い保険料 | 特約・割引(主なもの) | |
代理店型
| A社 37,130円 B社 34,530円 | ゴールド免許割引、 インターネット特約 |
通販型
| A社 28,970円 B社 26,060円 | ゴールド免許割引 インターネット割引 |
「保険料は少し高くても、人によるサポートを受けたい」と考える方は代理店型を、「コストを削減して合理的に保険を選びたい」と考えている方は通販型にするというのも判断ポイントです。実際に事故後の対応が気になる方は、事故の体験者から保険会社の担当者の対応がきめ細やかで丁寧であるか、どんな対応をしてもらえたか、お話を聞いてみるのもいいでしょう。それぞれの好みや予算に見合ったタイプを選んでくださいね。
保険を選ぶ前に知っておきたい
8つのポイント
自動車保険のプランを選ぶ際にポイントとなる項目はいくつかあります。それぞれの保険料や補償額が異なりますので、各ポイントを押さえて絞っていきましょう。(通販型を元にしています。)
①ノンフリート等級
ノンフリート投球とは、過去の事故の状況などによって1等級〜20等級の区分され、保険料が割引・割増される制度のことです。初めて契約する場合は6等級から始まり、一年間無事故であれば1等級上がり保険料も安くなります。ノンフリート等級はどの会社にも設定されていますが、等級ごとの割引率は異なります。また、保険会社が変わっても等級を引き継ぐことができます。家に車がもう一台あれば、「複数所有新規特則」として契約が7等級から始まる場合もあります。
②年間走行距離
契約時の年間走行想定距離を「3,000km以下」~「無制限」の7区分に設定、走行距離に応じて保険料が安くなります。説明例にあげた会社では、契約時に申告した契約距離区分を超えても、追加料金を支払うことで保険の適応が受けられる、走行距離が少ない場合は、翌年に繰り越せるなどの便宜が図られています。
年間走行距離の目安はこちらをご参考ください。
※ノンフリート等級が20等級の方でも、年間走行距離によってさらに安くなる可能性があります。
③年齢条件
運転者の年齢によっても保険料が変わってきます。年齢条件は「年齢を問わず補償」「21歳以上補償」「26歳以上補償」「35歳以上補償」年齢が上がるとともに保険料は安くなりますので、年齢条件は適切に設定をしましょう。
④運転免許証の色
保険開始日の記名被保険者の運転免許証の色に応じて、保険料が変わってきます。割引率は保険会社によって異なりますが、7〜20%ほどの割引率。安全運転への意識がさらに高まりますね。
⑤適用ドライバーの範囲
保険が適用されるドライバーはあなただけですか?もし、配偶者の方や家族の方も運転する場合、補償の範囲を正しく設定することで保険料を節約できる場合も。
⑥運転する地域
ご契約のお車の登録番号(ナンバープレート)の運輸支局名によって保険料が細分化されています。これは、住んでいる街の交通量や道路状況による事故の発生リスクや事故件数に関わるためです。そのため次の7つの地域区分で保険料が異なります。
・北海道
・東北
・関東・甲信越
・東海・北陸
・近畿・中国
・四国
・九州・沖縄
⑦車の主な使用目的
自動車保険の使用目的は「業務」「通勤・通学」「日常・レジャー」の3つに分けられています。
1.業務
年間を通じて、週5日以上または月15日以上、業務で使用する。
2.通勤・通学で使用
年間を通じて、週5日以上または月15日以上、通勤・通学に使用する。
3.日常・レジャーで使用
上記1、2のいずれにも該当しない。家族で出かけるときにしか車は使わない。
自動車保険の使用目的には、事前に車の利用方法を調べることで運転者のリスクを把握する意味があります。そのため、申し込む際には必ず記載をしましょう。使用目的をどれに設定するかによって年間保険料の差が大きく異なります。
⑧車のタイプ
軽自動車、普通乗用車、ワゴン車、コンパクトカー、ミニバンなど、車両の大きさや排気量によっても保険料が異なります。
保障額で選ぶ場合は
自動車保険は保障額に応じて保険料が異なります。もしもの事故を考えて、対人は無制限、対物は2,000万円以上、搭乗者または人身障害補償保険は2,000万円以上に設定したいところです。ちなみに、道路周辺の器物を壊した場合の弁償金額を表にしましたので、対物保険料を決める参考にしてください。なお、損害賠償には別途設置作業に対する料金が必要となります。
設備名 | 損害賠償金額 |
信号機 ガードレール 高速道路の電光掲示 電光掲示の道路標識 電信柱 駐車券発券機 駐車料金出口精算機 自動販売機 | 約500万円~ 約30万円~(1スパン) 約1,000万円以上 約500万円~1,000万円 約100万円~ 約300万円 約600万円 約80~200万円 |
車両保険やロードサービスは加入すべき?
自動車保険を調べていると付帯やさらなる補償として次の3つをよく目にします。それぞれ、どんな時に役立つの?どんな補償があるの?をご説明します。
車両保険
車両保険とは自分の車の修理費等を補償する保険のことです。
追突事故や自損事故を起こした場合や、台風や地震などの自然災害で故障した際も保険が適用されます。交通事故の場合、過失割合(交通事故に対する責任の割合)がありますが、自分の過失割合分は相手から支払われることはありません。そこを補ってくれるのが車両保険です。車両保険には自損事故やあて逃げも対応する「一般型」と対応されない「エコノミー型」の2種類があります。自分の車を守るため、長く車とおつきあいするためにも、入っておいたほうが安心な保険です。
ロードサービス
車を運転していると、大小何かのトラブルにあうことはめずらしくありません。そんな時に「入っていてヨカッタ」といえるのがロードサービス。故障時のレッカー移動、ガス欠、タイヤのパンク、バッテリーが上がったなど、大抵24時間365日、専門のオペレーターが電話受付をしており、現場にスタッフが駆けつけてくれます。
多くの保険会社が自動車保険の加入者に無料でロードサービスを提供しています。ロードサービスに加入していないと、出張費は全額自己負担となって膨大な額を請求されます。自宅や目的地までの交通費、レンタカー費用までサポートしてくれるケースも。
クレジットカード付帯の自動車保険はオトク?
クレジットカードのサービスとして、提携している会社の保険商品を利用できる自動車保険があります。サービスや料金などは前述した内容と変わりませんが、保険料をクレジットカードで支払うため、ポイントが溜まるなどのメリットがあります。
カード会社と提携している自動車保険を選ぶのも良いですし、カード会社が気に入った保険商品を付帯サービスとしているのか、調べてみるのもよいでしょう。
よく考えて自分のライフスタイルにあったベストな保険を
一人ひとりのライフスタイルによって選ぶべき保険や保険料も変わってきます。
まずは、今回お伝えしたポイントからリスクを細分化し、自分が必要な補償を絞っていきましょう。
自分や家族を守るためにも、しっかりとプランを練って保険の申し込みをしてくださいね。